参考写真 9月の民主党代表選の混乱には、さすがにあきれかえってものが言えません。動向が焦点となっていた小沢一郎前幹事長が出馬を表明、続投を目指す菅直人首相との全面対決が確実な情勢になりました。
 そもそもこの混乱の責任は、菅直人総理側にあることは明かです。参院選敗北の総括も行わず、党の責任者として、小沢グループとや鳩山グループとの対話の努力も行わない菅総理。小沢前幹事長が最終決戦を決意したのも、分からないわけではありません。
 最近の菅総理の発言として許し難いのは、「すぐに解散と言う人がいるが、ある程度腰を据えて取り組むには、基本的には3年で(衆参)ダブル選挙になると思っている」とのことばです。(8月24日付け朝日新聞より引用)
 この発言は、8月23日、一期生議員との懇談会で出されたと言うから驚きです。
 「私(菅直人)に代表選で一票入れてくれて、代表に再選されたら、解散を3年間行わないから、皆さんはあと3年間国会議員の身分が保障されますよ」と、言っているのに等しい発言です。究極の利益誘導、国会議員の地位をもって、代表選の票を買収しようとすると同じコトです。
 ダイヤモンド・オンラインで元経済企画庁長官の田中秀征氏は、菅首相「3年間は解散しない」発言は、解散権の私物化と自らの地位保全だとの一文を掲載しています。
 そのポイントは6つ。
(1)解散は“首相の専権事項”だが、菅首相個人の専権事項ではない。大きな勘違いがそこにはある。
(2)3年間に民意を問う必要が生じないとなぜ断定できるのか。
(3)菅政権は、参議院選挙で実質的に不信任されている。本来ならば、総辞職するか直ちに解散・総選挙を実施して民意を問うのが政治的、道義的な責任の果たし方だ。
(4)解散を恐れる新人議員に、解散権不行使を示唆して支持を求めることは、アメを差し出す点で買収と同質である。むしろ公的権限を濫用しているから、より悪質だと言わざるを得ない。
(5)将来性のある若手政治家を愚弄しているのではないか。もしも私が新人議員として出席していたら猛然と反発したと思う。
(6)首相は、「3年間しっかりやりたい」と言ったらしいが、出席者から「何をするのか聞きたかった」 という声があった。当然だろう。“解散権不行使”より、堂々と政策で勝負する方が、若手の尊敬や信頼を得られる。
一々もっともだ。菅政権は、名実共に“勘違い政権”に成り下がってしまっている。