参考写真 今年4月、過疎地域自立促進特別措置法が改正され、過疎対策事業債(過疎債)の対象範囲が大幅に拡大されました。元利返済額の7割を国が負担する過疎債は、従来、施設整備などに限定され、各地域が過疎対策を策定する際に、その使い勝手の悪さがたびたび指摘されていました。今回の改正で、地域の実情に応じた過疎対策をより柔軟に進める道が開けたことになります。
過疎化の深刻な実態
 過疎化の問題は実に深刻です。その最も困難な問題の一つが、過疎集落に住む人々の生活の足が奪われていることです。特に自動車を運転できない高齢者は、日常の買い物や最寄りの病院に通院するために、数千円、距離によっては往復で1万円を超えるタクシー代がかかることもあります。こうした交通弱者対策として、乗り合いタクシーやバス運行などを整備する場合にも、過疎債の活用が可能になりました。
 人口流出に伴う空き家や荒れ地の増加は、農山村の維持・景観にとってマイナスになるだけでなく、そこに暮らす人々の治安対策の面からも早急な対応が求められていいます。地域住民らによる景観保全活動への支援や空き家の活用にも新たな対策は利用できます。
 医療の確保は、暮らしの中で最も基礎的な条件となる。地域医療への利用も重要です。
 このほか、地域の特性を生かした新産業の創出、高齢者等緊急通報システム、居宅介護サービス、遠距離通学支援、自治会活動支援、地域の担い手確保をはじめ、その地域の人々が将来にわたって安心して暮らしていくための諸施策にも過疎債が充てられることになります。
 今、各地に話題になっている、独居老人の安否確認事業などにも活用できます。
 公明党は2007年、「チーム3000」のネットワークを駆使して全国規模の実態調査を実施。過疎債のソフト対策への活用拡大を求める各地からの要望をもとに、法改正に向けて改善を強力に推進してきた実績があります。
 全国1727市町村のうち、過疎地域に指定されているのは776団体に上ります。ソフト対策で使える過疎債の上限額は自治体の人口規模と財政力指数によってそれぞれ異なりますが、体制が整った今、過疎地域に指定されている自治体がその地域のニーズに即したプランを練り、実施する段階に入っています。
 9月からは地方議会が本格的に動き始める。地域の実情を踏まえたユニークなアイデアを出し合い、過疎対策でも公明党が訴える現場発の「声の届く政治」を強力に具体化していきたいと思います。