破綻処理が決まった県住宅供給公社 9月22日開かれた茨城県議会本会議で、「茨城県出資団体等調査特別委員会」(以下、出資調特と記載します)の調査経過並びに結果報告が行われました。
 出資調特は、県の出資団体や特別会計・企業会計の健全化を図るための、平成21年第1回定例会で設置されました。以来16回にわたり調査を進め、その結果を、22日の本会議で報告しました。
 出資調特は、県出資団体等の事業を財政状況に応じて縮小すべきであるとして、以下のような目標を設定して、削減に取り組むよう執行部に努力を求めました。
  • 県出資団体数は、指導対象団体を可能な限り削減することとし、平成21年度の55団体を平成25年度までに40団体程度に、平成29年度までに30団体程度にすること。
  • 県出資団体への人的関与については、平成21年度の県派遣職員261名を平成25年度までに130人程度に削減すること。
  • 財政的関与については、平成25年度までに、公社対策分を除く補助金・委託料・貸付金を、平成21年度の合計額約300億円から、150億円程度まで削減すること。

 また、県財政運営のあり方については、この定例会で決定された保有土地対策20年、三セク債償還15年の場合であっても、今後の土地処分の動向によっては、対策が根底からくつがえる恐れもあることから、今後も、定期的に、財政シミュレーションによる対策の点検、管理を行い、県民への説明責任を果たすべきでと提言しました。
 個別団体・会計に対する主な提言は次の通りです。
  • 茨城県住宅供給公社は、県財政への負担を最小限に抑制するため、平成22年中に破産手続に着手すべきであり、また、県は、同公社に投入される税金の額やこうした事態に至った反省とお詫びの意を県民にわかりやすく説明する。
  • 財団法人茨城県開発公社は、当面は、事業縮小に取り組み、県による経営支援終了時には、存廃の検討を行う。
  • 鹿島都市開発株式会社は、当面は、営業努力を継続し、将来的には、県関与を廃止し、自立化を図る。ホテル部門(鹿島セントラルホテル)については、経営状況によっては、売却等も視野に入れた議論を進めるべきであります。
  • 茨城県土地開発公社は、当面は、事業縮小に努め、将来的には廃止も視野に入れる。
  • 財団法人グリーンふるさと振興機構は、圏域市町などへの機能移管により、発展的に廃止される。
  • 社会福祉法人茨城県社会福祉事業団は、県立あすなろの郷の運営への県負担の削減に取り組む。
  • 財団法人茨城県教育財団は、県派遣職員数を必要最小限まで、早期に削減する。
  • 鹿島臨海工業地帯造成事業特別会計は、地元市等の意見を十分聞きながら、将来的には、一般会計への一元化を検討する。
  • 都市計画事業土地区画整理事業特別会計は、事業費総額を縮減し、特に、TX沿線開発においては、さまざまな土地処分方策を推進する。
  • 病院事業会計は、引き続き4年間を第二期改革期間として県立病院の経営改善に取り組み、必要な政策医療を担いつつ、繰入金を縮減する。

【県の保有土地対策】県住宅供給公社やつくばエクスプレス(TX)沿線などの保有土地問題では、県は実質的な将来負担見込み額を1890億円と試算しています。先の出資団体等調査特別委員会では、この将来負担を解消するために、保有土地対策期間を20年と設定し、三セク債381億円を活用して住宅供給公社を早期に解散。全体の保有土地対策として一般財源を本年度144億円、11年度から24年度にかけ毎年100〜120億円、25年度から29年度は30〜100億円を投入することが、「最も県財政運営が持続可能」と説明しました。この試算に基づくと、20年間で利子分を含め計1940億円に上る県民の税金が保有土地対策につぎ込まれることになります。