9月29日、厚生労働省は全国の病院および分娩取り扱い診療所における必要医師数の調査結果を公表しました。この調査は、地域や診療科ごとの必要医師数を把握するためのもので、厚労省が行うのは初めてのことです。
 それによると、アンケートに回答した全国8698施設(病院7687、分娩取り扱い診療所1011)における、非常勤も含む医師の求人数は計1万8288人。求人はしていないものの、医療機関が必要と考えている医師数を含めると計2万4033人で、現在それらの医療機関に勤務する医師数16万7063人に対する「本来必要な医師数」は1.14倍となっています。
 また、分娩を取り扱う医師は7312人で、求人医師数に796人、必要医師数に1124人足りず、現在の医師数に対する必要な医師数は1.15倍でした。
 茨城県の数字を医療対策課より提供された資料で紹介すると、非常勤を含む医師数は3292人で、求人医師数は440人、非求人医師数は52人、必要医師数は492人となり、「本来必要な医師数」は1.15倍となっています。
 分娩を取り扱う医師数は169人で、求人医師数は19人、非求人医師数は7人、必要医師数は26人となり、「本来必要な医師数」は1.15倍となりました。
医師現員必要医師数倍率
全国1万8288人2万4033人1.14倍
分娩を取り扱う医師7312人1124人1.15倍
茨城県3292人492人1.15倍
分娩を取り扱う医師169人26人1.15倍

 二次医療圏ごとの必要医師数をみてみると、必要医師数の倍率が高いのは、日立医療圏、常陸太田・ひたちなか医療圏、筑西・下妻医療圏で、倍率は1.27倍でした。倍率が低い医療圏は、つくば医療圏で1.05倍でした。
二次医療圏現員医師数必要医師数倍率
水戸589人95人1.16倍
日立271人72人1.27倍
常陸太田・ひたちなか202人54人1.27倍
鹿行194人36人1.19倍
土浦283人46人1.16倍
つくば797人42人1.05倍
取手・龍ヶ崎565人57人1.10倍
筑西・下妻180人48人1.27倍
古河・坂東207人38人1.19倍

参考:必要医師数実態調査
県内医師500人不足 地域偏在浮き彫り 厚労省調査
茨城新聞(2010/10/1)
 (前文略)調査結果を分析した県のまとめによると、県内で働く医師数は3292人で、現在の求人数は440人。求人はしていないが、医療機関が必要としている数は52人だった。
 二次医療圏別は、つくばが最も低く1・05倍。取手・竜ケ崎が1・10倍と続き、水戸と土浦は1・16倍だった。これに対し、日立、常陸太田・ひたちなか、筑西・下妻は1・27倍、古河・坂東と鹿行も1・19倍と高く、県北、県西、鹿行地域の高さが目立った。
 この傾向は人口10万人に対する医師数(2008年)の全国平均224・5人の半分以下の常陸太田・ひたちなか(90・9人)、鹿行(92・3人)、筑西・下妻(98・9人)とほぼ一致。あらためて医師不足の実態と地域偏在が浮き彫りになった。
 診療科別では、内科系と産婦人科系が1・17倍、小児科系も1・16倍と高かった。分娩(ぶんべん)取り扱い医師は1・16倍だった。
 県医師確保対策室は「人口10万人に対する医師数(162・1人)の全国順位の46番目よりは全国平均に近い数値だが、医師が不足しているのは間違いない。地域偏在も明らかになった。今後も懸命に医師確保に努めたい」と話した。