参考写真 茨城空港に7月からチャーター便を週3便就航させている中国の格安航空会社“春秋航空”は、月曜日の発着便の一部が茨城空港を使用出来ない状態になっていました。春秋航空のチャーター便は1カ月ごとに運航許可申請が必要で、国土交通省は防衛省と協議したうえで許可していますが、8〜10月は全14往復のうち月曜の3往復が成田空港発着となりました。この発着変更は、茨城空港を共用する航空自衛隊百里基地の訓練と重なることが理由とみられていますが、国側から、具体的な理由の説明は未だにありません。
 この問題は、「月曜問題」と呼ばれ、茨城県や春秋航空は、乗客が不便だとして茨城空港の全便発着を求めていました。井手よしひろも、9月7日に行われた県議会代表質問で、橋本知事に対してその対応を強く国に求めるよう提案していました。
 こうした状況下、11月は全14往復が茨城空港発着となることが10月13日までに判明しました。
 朝日新聞(2010/10/14付け)によると、9月に同社(春秋航空)の王正華会長から馬淵澄夫国土交通相あてに茨城空港への全便発着を求める要望書が出され、同課は要望書の内容を防衛省側に伝えたといいわれています。結果的に11月の全便茨城発着が決まりましたが、12月以降については「何ともいえない」と、伝えています。
 また、全便茨城発着について航空幕僚監部広報室は「国土交通省との調整の結果だ」と説明しています。国交省の運航許可をめぐる両省間の協議について「安全保障上の必要性などの観点と、観光などのニーズとの均衡を図るため、毎月調整している」としているとしています。
 茨城空港は、航空自衛隊百里基地を民間共用化した空港です。百里基地は「首都圏防空の要」と位置づけられており、領空侵犯への対応(スクランブル)や航空偵察の任務などを担っています。中国のような、共産圏から飛来する飛行機の乗り入れに防衛省は非常に慎重な姿勢を崩していません。
 今回の月曜問題だけではなく、茨城=上海便の定期便化も簡単に結論は出そうもありません。春秋航空が、早着や遅延をすれば、その間、自衛隊の訓練ができなくなります。そのため、最短でも1年間はかけて定時発着できるかどうか、見極める期間が必要とされています。
 自衛隊共用空港としての茨城空港の悩みは、今後も続きます。