
白内障は眼球の水晶体が灰白色に濁り、視力が低下する病気。年を取れば白髪が増えるように、眼も70歳以上なら8〜9割が白内障にかかるといわれています。その治療に有効な「眼内レンズ挿入手術」に保険適用が認められて、今年で18年になります。
今でこそ“当たり前”となった保険適用ですが、かつては大違いでした。手術費・眼内レンズ代は片眼で約15万円、両眼ならその倍。「手術したいが、とても払えない」。負担の重さに、収入の少ない多くの高齢者が泣く泣く諦めていました。
公明党は、この現実を変えるために、戦いを開始しました。
「国が対応するまで自治体で助成できないか」。全国の各地方議会で公明党議員は「白内障手術への公費助成を実施すべき」と全力で主張。1992年1月までに約130の自治体で助成が始まり、東京都も92年度予算原案に10億円を計上しました。
そして迎えた92年2月4日の衆院予算委員会。公明党書記長の市川雄一(当時の役職)は、手術代の重さに苦しむ庶民の思いを代弁し、全魂込めて訴えました。
「眼内レンズ挿入手術の保険適用を、ぜひ実現していただきたい!」。テレビ中継された市川の烈々たる大音声は全国に響き渡りました。
山下徳夫厚相(当時)は自ら答弁席に歩み寄り、「保険適用を私から中央社会保険医療協議会に諮りたい」と初めて言明。さらに「この際、ケチなことは言わずに(眼内レンズ代も含め)全部やってはどうか」と付け加えました。
市川はそっと頷いた。眼内レンズ代も含めた白内障手術への保険適用が決まった瞬間でした。
こうして92年4月、保険適用がスタートしました。現在では、毎年100万件近い手術が行われています。
2003年に両眼の眼内レンズ挿入手術を受けた作家の瀬戸内寂聴さんは、そのエッセイに「色彩が鮮明に輝き、硝子器がびっくりするほど透明で光り輝いて見えた。全くこの世は美しい」(『生きかえった両眼』)と書きました。
(写真は、最新の白内障用眼内レンズ)
山下徳夫厚相(当時)は自ら答弁席に歩み寄り、「保険適用を私から中央社会保険医療協議会に諮りたい」と初めて言明。さらに「この際、ケチなことは言わずに(眼内レンズ代も含め)全部やってはどうか」と付け加えました。
市川はそっと頷いた。眼内レンズ代も含めた白内障手術への保険適用が決まった瞬間でした。
こうして92年4月、保険適用がスタートしました。現在では、毎年100万件近い手術が行われています。
2003年に両眼の眼内レンズ挿入手術を受けた作家の瀬戸内寂聴さんは、そのエッセイに「色彩が鮮明に輝き、硝子器がびっくりするほど透明で光り輝いて見えた。全くこの世は美しい」(『生きかえった両眼』)と書きました。
(写真は、最新の白内障用眼内レンズ)
衆議院予算委員会議事録(平成04年02月04日)
市川雄一議員(公明党) これもやはり厚生省でございますが、老人性白内障の問題でございます。
結論を先に申し上げますと、七十歳を超えますと目の白髪と言われている白内障にどうしてもかかる。手術をして眼球レンズを埋めかえる、そうしますと大体手術代が、一眼、一つの日約十万円かかる。両方の目を手術しますと約二十万かかってしまう。プラスこのレンズ代が五万円ぐらいしますから、一つの目を手術します手術代が十万円でレンズのお金が約五万円。これを健康保険適用にしてほしいという声が非常に強くございます。
水晶体が白く濁ってきて見えなくなる病気、大体七十歳を超えると、もちろん個人差がありますから一概には言えませんが、髪は白くならない人もいるわけですから、大体九〇%ぐらいの人が白内障にかかる。毎年約十一万人の人が白内障で病院を訪れていると言われております。現在は技術が非常に進んで、人工水晶体、眼内レンズの埋め込み手術を受ければ視力がかなり完全に近いほど回復してくる、こういうことで、大体今、平成元年で約二十万眼の手術が行われている。地方自治体でもこの問題を非常に重要視しまして、何とか健康保険の適用をという陳情が盛んに私たちのところに来ておりますし、公明党の地方議員の方々も熱心に地方議会で発言をして、国が何らかの措置をとるまでのつなぎの措置として自治体が助成できないかということを自治体に働きかけをして、一部公費負担を実施している自治体が一県百三十市町村、自治体の数で約百三十一団体、こういう状況でございます。かなり厚生省の方にも全国から、相当地方自治体から御要請が来ていると思うのです。
確かに七十歳あるいは六十五歳、個人差があると思いますが、手術をする、十万円かかってしまう、両方やれば二十万かかる。これを何とか健康保険の適用ということが相当切実に来ているわけですが、厚生大臣、健康保険適用ということをぜひ実現させてあげていただきたいと思うのですが、大臣の今のお考えはいかがでしょうか。
山下厚生大臣 私も実は白内障で、眼内レンズを入れております。昔は白内障で手術しますと、ラムネ瓶の底みたいな眼鏡をかけたりしていましたよ。それからだんだん進んできましてコンタクトレンズができましたけれども、これも非常に弊害が多い。落としたりいろいろ面倒である。ということで、私も眼内レンズを入れましてこれはいいなと実感を持っております。
ただ、白内レンズにはいろいろ値段の違ったものもありますし、いろいろ問題はあります。ですから、初めは施術料だけ入れたらどうかなと私は思っておりましたけれども、この際そういうけちなことを言わないで、これはひとつ全部やったらどうかなという、私自身そういう感じを持っております。したがって、四月一日から実施予定の診療報酬の改定のときに中央社会保険医療協議会に私の方から諮りたいと思っております。