事業仕分け第3弾、ジョブ・カードなど「目玉政策」に駄目出しも
参考写真 政府の行政刷新会議は10月30日に、特別会計を対象とした事業仕分け第3弾(前半)の作業を終えました。ムダ削減の総決算と位置付けたはずの取り組みは、「財源の確保もわずかにとどまり、事業仕分けの限界が見えた」(朝日新聞10月31日付)と厳しい批判にさらされる結果となりました。
 仕分け第3弾は、4日間で全18特会と各特会の計51勘定、48事業を検証。3特会、8事業を「廃止」、27事業を「予算圧縮」と判定しましたが、これらの事業を合わせても、来年度予算要求額は最大で約4300億円の減額にとどまりました。
 昨年秋の仕分け第1弾での実質的な削減額も約7000億円に過ぎず、今回で事業仕分けは一通り終結しました。民主党は09年の衆院選マニフェストで13年度までに総額16.8兆円の財源確保を約束しましたが、3回の仕分けの捻出額はこれに遠く及ばず、マニフェストの主要政策の完全履行は事実上、不可能になりました。
 仕分けの判定が、民主党政権の政策と矛盾する問題も生じています。公明党の推進で2008年4月にスタートした若者の雇用支援策である「ジョブ・カード」は、事業仕分けで「廃止」と判定。ところが、今年6月に閣議決定された「新成長戦略」では、20年までに同カードの取得者を300万人にするとの目標を掲げ、8月の11年度予算案概算要求にも盛り込まれており、「仕分けは菅政権の『ど真ん中』の政策に駄目出し」(10月28日付「東京」)する格好となりました。
 同様に、年金記録問題対策でも、紙台帳とコンピューター記録を照合する業務の来年度予算要求額を「2割程度削減」と判定。民主党が進めてきた「看板政策」にブレーキをかける事態を招きました。
 結局、民主党による事業仕分けは世論の期待を裏切る形で、国民に約束したマニフェストの財源捻出もできず、政権の政策を自ら否定するような矛盾まで露呈し、事実上の幕引きとなったわけです。
 パフォーマンス優先の付け焼き刃的な仕分け作業には限界があるのは当然であり、今後は、国会の場で徹底してムダ削減に取り組み、国民の期待に真正面から応えるべきです。