ローカル・マニフェスト推進ネットワークいばらき(代表幹事:門脇厚司筑波大学名誉教授)より、県議選に関するアンケート調査を依頼されました。設問は22項目です。回答は、賛成○、反対×、どちらとも言えない−を記入するものです。
 実は、最初に届けられた調査票は、設問自体の設定が制度的に成り立たなかったり、事実の誤認等があったために、事務局に設問の訂正を要望しました。24日に訂正された調査票が届きましたので、回答いたしました。
 このアンケートで特に気になったのは、<議会改革>に関するもの6問です。単に、○×だけでは、井手よしひろ県議の考え方を有権者の皆さまに伝えることが到底出来ませんので、このブログで説明を加えさせていただきます。
1.県議会議員の定数を現行の65から3分の2程度(約42人)に減らす。

回答:反対×
 いきなり提示された定数42と言う数字の根拠が全く説明されていないため、正直言って回答できません。
 議会制民主主義を費用の面だけで考えるのは非常に危険な発想だと思います。これだけ大幅な定数減を行えば、県北地域の過疎化傾向の強い地域などからの代表者がかなり少なくなってきてしまうと思います。少数意見を県政に反映する術が無くなります。
 また、現状の公職選挙法では、県議選の区割りについて、市や郡を基本とする選挙制度を前提としており、県の人口を定数で割った数の半数が、市や郡の人口に達しないときは、隣接する市・郡との合区が義務づけられています【公職選挙法第15条2項・強制合区】。したがって、仮に定数42を想定してみると、高萩市や行方市も隣接する市に合区されることになります。市が合区されることに対して、それを是とするか否かの議論を別途する必要が出てきます。
 極端な定数減については、合理的で冷静な議論が必要と考えます。
 公明党としては、地域のバランス等を勘案し1割程度削減、50台への定数削減が妥当と考えています。
2.現在36ある選挙区を現行の半数(18区程度)に減らし、現行22区ある1人区を全て複数区にする。

回答:どちらとも言えない−
 公職選挙法第15条3項には、「第一項の区域の人口が議員一人当りの人口の半数以上であつても議員一人当りの人口に達しないときは、条例で隣接する他の郡市の区域と合せて一選挙区を設けることができる」との条文があります。これを反対解釈すると「選挙区の人口が議員一人当たりの人口を超えた選挙区どうしは合区できない」ということになります。
 したがって、1人区を複数区にするには、公職選挙法を改正する必要があり、現行法の運用では不可能です。

3.県議会議員の任期に上限(例えば5期20年限り)を設ける。

回答:反対×
 議員や首長の多選禁止条例は、自治省(現総務省)から、憲法上疑義があるとの見解が示されています。多選を制限するのであれば、憲法改正が必要であると考えます。
 多選の是非は、有権者が投票行動の中でしめるべきです。
 全国の自治体で唯一、多選禁止の条例(恒久的に知事の任期を3期12年までと定めた条例)を成立させた神奈川県議会でも、施行日を別途定めるとして、現在でも施行されていません。その他の市町村の条例は、「多選自粛条例」であり、努力規定としている条例に過ぎません。

4.議員ボーナス廃止や、議会開催日による日割り制導入などで、議員報酬を大幅に削減する。

回答:反対×
 議員の仕事は議会に出席し、議論をすることだけではありません。一日24時間、365日、地域住民の真っ直中にあって、住民の声を聞き、行政へ反映させていくことに、その本分があると考えます。そのために、最低限の生活に資するための報酬や様々な調査に要する経費は、地方主権を確立するために必要であると考えます。
 報酬の基準は、退職手当や共済年金などもないことを考慮すると、自治体職員の部課長級の金額が妥当ではないかと思います。

5.趣旨の異なる議案の一括採択をやめ、各議案に対する議員の賛否を取り、その結果を公表する。

回答:反対×、賛成○
 この設問は二つの内容を、無理矢理一つの設問にしてしまっており、回答が二つに分かれました。
 つまり、前半の設問「趣旨の異なる議案の一括採択をやめ」については、茨城県議会のように会派制をとっている議会では、会派の採決態度が事前に示されており、一括採決を行っても何ら問題ないと考えます。また、党議拘束をかけない案件に関しては、事前に議会運営委員会などで、別途、個別採決しており、現状の議会運営の方式でよいと考えます。
 後半の「各議案に対する議員の賛否を取り、その結果を公表する」については、賛成です。

6.重要案件を議会採択なしに住民投票によって決めることが出来るような住民投票条例を作る。

回答:反対×
 二つの意味で賛成できません。まず、何を「重要案件」とするのか、その定義が全く曖昧です。仮に、議会の議決で「重要案件」を決定するという条例を作るのであれば、それは議会の自己否定になってしまいます。
 また、「重要案件を議会採択なしに住民投票によって決める」とは、議会制民主主義、地方自治の二元代表制を否定することにつながります。それは、まさに直接民主制の考え方であり、日本国憲法の原理・原則をも蹂躙することになると考えます。