参考写真 「不妊症」という言葉は良く知られていますが、「不育症」と言う言葉はご存じでしょうか。ある女性からこの言葉を伺ったのは、1年ほど前でした。
 「不育症」とは、妊娠はするが、流産・死産を繰り返し、元気な赤ちゃんが得られない状態をいいます。
 11月19日の参議委員予算委員会で、公明党の荒木清寛議員がこの「不育症」を取り上げました。荒木議員は、「(不育症の)痛苦は想像に余りある。一方、適切な検査と治療で85%が出産できるようになる」と主張しました。その上で、治療法の一つである「ヘパリン注射」に関して、前厚生労働相が安全性や有効性が確認されれば、速やかに保険適用すると答弁したものの、「1年たったが、(政府の)動きがない」と、政府の対応の遅さを糾弾しました。
 厚生労働省の調べでは、妊娠経験がある人のうち、流産経験者は約4割。このうち2回以上流産し、「不育症」と見られる人は約6%、年間4万人程度の人が「不育症」とされています。
 不育症になる原因は、さまざま挙げられています。依然、不明な点も多くのが現実ですが、専門家は、適正な検査と治療を施せば「85%は無事、出産にたどり着ける」と強調しています。
 ただ、ここに大きな問題があります。不妊症治療と違い、不育症治療の多くは保険の適用外になっていることです。
 運良く、不育症の専門医と出会い、検査・治療の末に待望の赤ちゃん誕生をみた夫婦は、2人目についてはあきらめるといわれています。深刻な不況で目減りするばかりの今の収入では、通常の出産費用以外にかかる高額な検査・治療費用の捻出が困難なために他なりません。
 こうした壁に直面して出産を断念せざるを得ない実態を受け止め、他党に先駆けて国政の場で改善に動き出したのが公明党です。
 昨年(2009年)11月の参院予算委員会で荒木議員は、不育症患者からの切実な訴えをもとに不育症治療への保険適用を主張。その後も公明党は女性委員会を中心に、不育症への公的助成の必要性を相次ぎ訴えています。
 公明党の指摘に対し、民主党政権は昨年、一定の治療方法について有効性や安全性が確認できれば、保険適用を進める意向を表明しました。しかし、1年を過ぎた現段階でも事態は前進していません。
 何より大切な命につながる話です。安全性確保を第一義にしつつ、政府は速やかに対応する必要があります。
 不育症対策では、ほかにも大切なポイントがあります。「流産はよくあること」などと治療する側が不育症を見逃せば、適切な対応を見失うことになります。医師の技術向上が不可欠です。
 女性の中には、「不育症」で計り知れないダメージを負っている場合も多く見られます。これからも公明党は、女性の視点からのキメ細かな支援策にも全力を挙げる決意です。
参考:may's room「不育症のお部屋」
参考:ハートビートくらぶ