要望の席上、あいさつする渡辺座長(右側手前から4人目)=20日 厚労省 12月20日、公明党脳脊髄液減少症対策ワーキングチームの渡辺孝男座長(参院議員)は、患者の代表や脳脊髄液減少症患者支援の会(大平千秋代表)らとともに厚生労働省を訪れ、診断基準の早期確立などを求める要望書を、25万1515人分の署名簿とともに篠田幸昌大臣官房審議官に提出しました。
 患者支援の会の川野小夜子・千葉県副代表は、治療法であるブラッドパッチ療法について、「保険適用されておらず、高額な治療費負担で患者・家族は大変厳しい環境に置かれている」と指摘。その上で、速やかな診断基準の策定、ブラッドパッチ療法の早期保険適用――などを求めました。
 また脳脊髄液減少症・子ども支援チームの鈴木裕子代表は、「学校の事故も災害共済給付制度の対象に」と要請しました。
 公明党の渡辺座長は、「署名は多くの患者の声」と強調し、政府の取り組みの強化を求めました。
 署名を受け取った篠田審議官は、「問題の所在は承知している。署名がムダにならないよう対応する」と述べました。
 脳脊髄液減少症は、交通事故やスポーツ外傷等の身体への強い衝撃が原因で、脳脊髄液が漏れ、減少することが原因で、頭痛、めまい、耳鳴り、倦怠感等、多種多様な症状が複合的に現れるという特徴をもっています。
 今年(2010年)4月、厚生労働省より、脳脊髄液減少症と診断される前の検査費用は、保険適用との事務連絡が出されました。これは、本来、検査費用は保険適用であるはずのものが、地域によって対応が異なっていたため、それを是正するために出されたもので、患者・家族にとっては大きな朗報でした。
 しかし、この病気の治療に有効である「ブラッドパッチ療法」については、いまだ保険適用されず、高額な医療費負担が解消されていません。
 保険適用の前段階として平成19年度から開始された「脳脊髄液減少症の診断・治療の確立に関する研究」事業は、症例数において中間目標100症例達成のため、本年度も事業が継続されています。今年8月には遂に、中間目標数を達成しました。今後は、収集した症例から基礎データをまとめ、診断基準を示すための作業をすみやかに行い、出来るだけ早く診断基準を定めるべき段階に至っています。
 そして、診療指針(ガイドライン)の策定及びブラッドパッチ療法の治療法としての確立を図り、早期に保険適用とすべきす。さらに、ブラッドパッチ療法を、学校災害共済、労災、自賠責保険等の対象とすべきです。
 こうした状況にあるにもかかわらず、政府・民主党の動きは鈍いと言わざるを得ません。政治指導といいながら、患者・家族会の貴重な署名受け取りに、政治家の顔が見えないのは非常に残念です。