参考写真 “伊達直人”という名前を名乗る贈り主からのプレゼントが、全国各地の児童養護施設へ届けられ、大きな話題になっています。茨城県内でも、県子ども家庭課の取りまとめでは、今日(12日)までに10件に及んでいます。
ほっとするニュース:直人の名、恥じぬよう 初ボーナス全額ランドセルで寄付
毎日新聞(2011/1/12)
 タイガーマスクの名に恥じないよう人に役立ちたい--。全国各地の児童養護施設などに漫画タイガーマスクの主人公・伊達直人を名乗る贈り物が相次ぐ中、高萩市肥前町の同仁会子どもセンターの児童養護施設「臨海学園」にも11日、タイガーマスクの愛読者という父子がランドセル10個を届けに訪れた。他にも「新入生は何人いるか」など贈り物を準備しているとみられる電話の問い合わせを受けた施設もあり、「タイガーマスク運動」への共感が県内でも広がりつつあるようだ。
 ランドセルを贈ったのは、古河市在住の住宅建設会社役員、木村公一さん(51)と長男直人さん(24)。同園によると、午前11時ごろ「タイガーマスク伊達直人にあこがれる木村直人」を差出人とする手紙を持参し訪れた。手紙には「私の名前はタイガーマスクから取った。少しでも世の中の役に立つ人間になって欲しいと付けたと話された。ボーナスが出たのでプレゼントしたい。子どもたちのために役立てて下さい」などと、名前に恥じないよう社会貢献したいという思いが込められていたという。同園には新1年生となる子が3人おり、大橋正男園長(61)は「大きなお年玉となりました。数が多いので(同仁会が運営する)別の施設と一緒に使わせていただきます」と喜んでいる。
 父公一さんが経営する会社に勤め2年目になる直人さんは昨年12月30日、初めてボーナスを受け取り、全額をランドセルにつぎ込んだ。報道で運動の広がりを知り「自分にもできるのでは」と県内施設をインターネットで調べたという。
 直人さんは施設に向かう途中、不安がよぎったというが「喜んで受け取ってもらい安堵(あんど)した。6年間大切に使ってもらいたい」と笑顔で話していた。実名で贈った理由について公一さんは「素直な気持ちで多くの人が施設に贈り物を送るようになればいい。呼び水になりたい」と話していた。

 この“伊達直人”からのプレゼントは、昨年12月25日、群馬県中央児童相談所の玄関前にランドセル10個が入った箱が積み上げられ「伊達直人」からの手紙が添えられていたことに端を発します。。それがマスコミで取り上げられると、神奈川、沖縄、岐阜など各地の児童相談所や児童養護施設にもランドセルや現金などが「伊達直人」の名で届けられるようになりました。
 茨城県内では、先に紹介した事例も含めて、以下10件の贈り物が把握されています。
1月11日臨海学園ランドセル10個木村直人、公一さん親子。「私の名前はタイガーマスクから取った。少しでも世の中の役に立つ人間になって欲しいと付けたと話された。ボーナスが出たのでプレゼントしたい。子どもたちのために役立てて下さい」
茨城学園絵の具などセット6組匿名「新1年生の皆さんへ」とのメモ
筑波愛児園ぬいぐるみ、サッカーボール、折り紙など“いたちマスク”「施設にいる子どもたちに使って欲しい」等の手紙
荒川沖西交番クレヨンや消しゴムなど匿名「児童施設のお願いいたします」
1月12日日赤乳児院紙おむつ、おままごとセットなど“伊達直人”「子どもたちへ明るく元気な未来を願っております」との手紙
茨城育成園ノート、筆入れ、鉛筆などの文具5セット“古河市の伊達直人”「子どもたちのために役立てて下さい」等の手紙
土浦児童相談所ランドセル1個“タイガーマスク三沢光晴”「恵まれない子どもたちのために寄贈します」等の手紙
茨城県道心園白菜30個“伊達直人”次に秋にも届けます
窓愛園現金5万円“茨城版ターガーマスク”「タイガーマスク運動に便乗させていただきます」等の手紙
福祉相談センターランドセル5個“伊達直子ことMother K”「ささやかながら、タイガーマスク運動に参加させていただきます」

 こうした善意のプレゼントに賞賛の拍手を送りたいと思います。
 そしてそれ以上に、日頃、光の当たらない児童養護施設の現状を、この機会に多くの方に知っていただくことは意義深いことです。
 県内の児童養護施設は15カ所、乳児園が2カ所。老朽化が目立つ施設多く、施設基準は何十年も「1人3.3平方メートル以上」「子ども6人に職員1人以上」のままで、思春期の子どもたちへのプライバシーの配慮も充分ではありません。タイガーマスクの時代は、いわゆる孤児の施設であったものが、今では、親から虐待された子や発達障害の子どもも多く、状況はより深刻化しています。
 さらに、職員の高齢化ややる気の喪失、施設内での虐待や暴力も問題化しています。入所している子どもたちの間でのいじめや性的暴力も、否定できない事実です。
 このターガーマスク運動が契機となって、児童福祉施設での様々な問題を、多くの市民が自らの問題として考えてもらいたいと念願します。
(写真は、1月12日茨城県児童相談センター一時保護施設を視察する公明党県議団)