菅直人首相の施政方針演説
(2011/1/24)
国民参加の議論に向けた提案
負担の問題は、触れたくない話題かもしれません。負担の議論に当たって、行政の無駄を徹底排除することは当然の前提であります。それに加え、議員定数削減など国会議員も自ら身を切る覚悟を国民に示すことが必要だと考えます。国会で議論し、決定すべき問題であることは言うまでもありません。本日は、一政治家、そして一政党の代表として、この問題を与野党で協議することを提案致します。そうした努力を徹底した上で、今の現実を直視し、どう乗り越えるか、国民の皆さまにも一緒に考えていただきたいのです。1年半前、自公政権下で設置された「安心社会実現会議」は、持続可能な安心社会の構築のため、社会保障給付と負担の在り方について、「与野党が党派を超えて討議と合意形成を進めるべき」と提言しました。
さらに昨年12月、自民党は、「税制改正についての基本的考え方」において、税制の「抜本改革の検討に当たっては、超党派による円卓会議等を設置し、国民的な合意形成を図る」としています。同じ時期に公明党が発表した「新しい福祉社会ビジョン」の中間取りまとめは、「健全な共助、健全な雇用こそ、福祉の原点」とした上で、充実した「中福祉・中負担」の実現を主張し、制度設計を協議する与野党の「社会保障協議会」の設置を提案しました。問題意識と論点の多くは既に共有されていると思います。国民の皆さまが最も関心を有する課題です。各党が提案する通り、与野党間で議論を始めようではありませんか。経験したことのない少子化・高齢化による生産年齢人口の減少は、かなり前から予測されていました。この大きな課題に対策を講じる責任は、与野党の国会議員全員が負っている。その認識を持って、熟議の国会を実現しましょう。よろしくお願いします。
与野党協議 野党に責任転嫁は不見識
1月24日、菅直人首相は施政方針演説で、税と社会保障の一体改革、環太平洋連携協定(TPP)、政治改革といった課題で、先に引用したように、与野党協議を呼び掛けました。
しかし、いずれの課題でも、肝心の与党・民主党の具体案を示さない一方的な呼び掛けでは、野党に責任を押しつけるための“抱き付き戦術”としか映りません。
例えば、社会保障改革について首相は演説で、公明党の「新しい福祉社会ビジョン」の中間とりまとめを持ち出し、「問題意識と論点の多くは既に共有されている」と発言しています。しかし、民主党案が判然としないのに、どこが共有されていると言うのでしょうか?
公明党は与野党協議の前提として、民主党がマニフェスト(政権公約)で国民に約束した、年金一元化や最低保障年金などの具体案を早く示すべきだと、繰り返し指摘しています。
それなのに首相は、税と社会保障の一体改革に関する政府・与党方針を6月に示すと言って逃げるばかりで、民主党案のとりまとめを急ぐ姿勢は一向に見られません。首相が「今度こそ熟議の国会」と言うならば、具体案をまず示すべきです。
しかも、首相は演説に先立つ民主党両院議員総会で、社会保障改革などで「野党が議論から逃げようという姿勢も見える」と野党を挑発。野党を協議に呼び込もうという真摯な姿勢に欠け、マスコミからも「首相の発言が協議実現の足を引っ張っている面もある」(1月25日付「読売新聞」)と批判される始末。
国民に対して自らの案も示さずに、協議入りできないのは野党のせいと言わんばかりの独善的な姿勢こそが、超党派協議の「土俵」づくりを難しくしていることを、首相は自覚すべきです。
参考:第177回国会における菅内閣総理大臣施政方針演説
それなのに首相は、税と社会保障の一体改革に関する政府・与党方針を6月に示すと言って逃げるばかりで、民主党案のとりまとめを急ぐ姿勢は一向に見られません。首相が「今度こそ熟議の国会」と言うならば、具体案をまず示すべきです。
しかも、首相は演説に先立つ民主党両院議員総会で、社会保障改革などで「野党が議論から逃げようという姿勢も見える」と野党を挑発。野党を協議に呼び込もうという真摯な姿勢に欠け、マスコミからも「首相の発言が協議実現の足を引っ張っている面もある」(1月25日付「読売新聞」)と批判される始末。
国民に対して自らの案も示さずに、協議入りできないのは野党のせいと言わんばかりの独善的な姿勢こそが、超党派協議の「土俵」づくりを難しくしていることを、首相は自覚すべきです。
参考:第177回国会における菅内閣総理大臣施政方針演説