参考写真 茨城県は国の「外国人研修・技能実習制度」を活用して外国人を受け入れることにより、農業の労働力不足を補ってきました。
 全国で受け入れている農業分野の外国人実習生の数は、平成21年の数字で6,717人でが、その内、実に35%強にあたる2,370人が、茨城県内に受け入れられています。農業産出額全国トップの北海道が332人、鹿児島県が146人、千葉県が500人であることから、茨城県農業がいかに外国人実習生によって支えられているかが分かります。
 この農業分野の外国人実習生が、東日本大震災と福島原発事故の影響で、大量に中国本土に戻るという事態に至っています。
 井手よしひろ県議の要請で、茨城県の農業経済課が各JAに問い合わせした結果が、右のような数字となっています。農協が受け入れている1,591人の実習生の内、337人が帰国しています。特に、鹿行地域の4農協では833人中291人が帰国。実に35%近くの働き手が失われたことになります。
 帰国した外国人実習生が再入国するためには、日本を出国する際に“再入国許可”を取ることが必要です。この再入国許可を取得していないと、査証(ビザ)が失効し、再入国は出来なくなります。
 再入国は、再度実習制度の申請から始めなくてはならず、同じ研修を二度実施することは出来ず、前例もないことから、日本に入国が認められることは難しいとされています。
 しかし、今回は地震・原発事故という異例の状況であり、中国への帰国も緊急避難的要素もあるために、入管においては救済措置も検討することが、井手県議らには伝えられました。今後、日本の受け入れ元であるJITCOの正式な発表が注目されます。
 ただ、今回の帰国に際し、中国人の実習生が農家への説明や挨拶もなく緊急帰国しており、実習生と受け入れのうかとの感情的な軋轢も発生しています。今後、メロンをはじめとする農繁期に入る中で、風評被害の問題と働き手確保の問題は、2重の意味で茨城の農家を苦しめることになりそうです。
 今後とも、県議会公明党としては、しっかりとした対応をしてまいります。