参考写真 東日本大震災により、住宅地内で法面崩落の危険性が指摘される場所が多く見られます。ここ茨城県日立市は、海に山が迫る地形で、町の中央部に日立製作所を中心とする工場群が位置するために、民間の戸建て住宅が山にへばりつくように建てられています。昭和40年代から造成された住宅団地で、岩盤も固く基本的には切り土で造られているため、住宅地の被害は最小限に止まっています。
 しかし、階段状に宅地が整備されているところでは、その法面擁壁(いわゆる土留め)にひびが入ったり、一部崩落しているカ所が数多く見られます。
 市や県が現地を確認して対応を検討していますが、万が一崩落しても直接、道路などの官地に影響を与える状況にはなく、民地内の被害にとどまっていることから、一般的には公的な支援を受けられない状態です。
 民地ですので当時者の責任で解決することが原則ですが、その費用負担は個人の限度を超える費用が予想されます。
 こうした民地の擁壁などに対する支援の枠組みでは、「能登半島地震により被害を受けた宅地の擁壁等の復旧工事にかかる経費を助成することにより、被災者の経費を軽減し、早期の復興を促進する」との目的で、能登半島地震復興基金の一つの事業として行われた事例があるようです。
 基金の原資が莫大になるために、どのように調達するかが一番の課題です。
 茨城県では、JCO臨界の事故の際、公明党の働き掛けもあり、原子力安全等推進基金を、国からの交付金(ウラン交付金)98億円をもって醸成しました。住民の健康診断や病院施設の拡充などに活用しました。
 こうした事例を参照して、国が数兆円レベルの基金を県単位に交付し。各県が、様々な住民ニーズに適用した事業を行うことが必要と考えます。 壊滅的損害を受けた都市機能の復興や民間鉄道の復興、擁壁の裏面の修理、液状化した住宅地の再建、広域的な耕地の普及など、こうした枠組みが必要と考えています。
参考:能登震災における被災宅地(擁壁)復旧支援事業