東日本大震災より5週間あまり、被災地から遠く離れて避難をしている方の避難生活も長期化してきました。
先日、いわき市から日立市内の親戚を頼り一時避難している方から、「孫がBCGの接種を受けたいのだが、日立市では受け付けてくれないのか」との問い合わせが井手よしひろ県議に寄せられました。
乳児のBCG接種は、生後6カ月までに行うことになっています。その費用は、当然無償です。しかし、住民票がない市町村で接種を受ける場合は、予防接種票の他に「予防接種実施依頼書」を住民票のある市町村より取り寄せることが必要でした。
しかし、被災地では予防接種実施依頼書を発行することは事実上困難です。現に、いわき市でも「震災対策が多繁であり、保護者がいわきに来ていただけない場合は、依頼書の発行は出来ない」と断られたそうです。予防接種実施依頼書を、取りに被災地に赴くことは、実質的に無理なはなしです。
こうした現状を想定して、厚生労働省は3月16日に、予防接種実施依頼書がなくても、他の地域(希望地)予防接種ができるようにするための通達を出しています。しかし、この通達も強制力はなく、実態としては、その判断を避難先の市町村の判断に任せています。事務連絡 東北地方太平洋沖地震に伴う予防接種の取扱について 予防接種法に基づく定期の予防接種(以下「予防接種」という。)の対象者であって、標記震災のために居住地である市町村(以下「居住地」という。)において予防接種を受けることが困難な者(以下「被災者」という。)が、居住地以外の市町村において予防接種を希望する場合には、その旨の申し出を受けた市町村(以下「希望地」という。)の長による予防接種の実施について特段のご配慮をいただきますようお願いします。なお、実施に当たっては下記に留意いただきますよう、管下市町村に対する周知方よろしくお取り計らい願います。記 1.居住地以外の市町村において予防接種を実施する場合には、一般に予防接種実施依頼書の発行が行われているが、居住地の長にあっては、標記震災のため、予防接種実施依頼書の発行事務が極めて困難であると考えられることから、予防接種実施依頼書がない場合においても、希望地の長は被災者からの申し出をもって居住地の長からの予防接種実施依頼があったものとし、予防接種を実施して差し支えない。
2.当該予防接種の実施に当たっては、被災者がおかれている状況を考慮し、予診の徹底など健康状況を十分に把握した上で接種が行われるよう特に留意願いたい。
先日、いわき市から日立市内の親戚を頼り一時避難している方から、「孫がBCGの接種を受けたいのだが、日立市では受け付けてくれないのか」との問い合わせが井手よしひろ県議に寄せられました。
乳児のBCG接種は、生後6カ月までに行うことになっています。その費用は、当然無償です。しかし、住民票がない市町村で接種を受ける場合は、予防接種票の他に「予防接種実施依頼書」を住民票のある市町村より取り寄せることが必要でした。
しかし、被災地では予防接種実施依頼書を発行することは事実上困難です。現に、いわき市でも「震災対策が多繁であり、保護者がいわきに来ていただけない場合は、依頼書の発行は出来ない」と断られたそうです。予防接種実施依頼書を、取りに被災地に赴くことは、実質的に無理なはなしです。
こうした現状を想定して、厚生労働省は3月16日に、予防接種実施依頼書がなくても、他の地域(希望地)予防接種ができるようにするための通達を出しています。しかし、この通達も強制力はなく、実態としては、その判断を避難先の市町村の判断に任せています。
平成23年3月16日
各都道府県衛生主管部局 御中厚生労働省健康局結核感染症課
2.当該予防接種の実施に当たっては、被災者がおかれている状況を考慮し、予診の徹底など健康状況を十分に把握した上で接種が行われるよう特に留意願いたい。
以上
日立市の事例では、「いわき市は市役所の機能が維持されているので、依頼書を取り寄せてほしい」という回答があったそうです。玉虫色の通達が、このような判断のブレを招いたものです。
さらに、この実施依頼書は、予防接種を無料で避難先の市町村受けられるということではありません。いったん、予防接種費用を自己負担して、医療機関の領収証や問診票、母子手帳などの控えを住民票のある市町村窓口に郵送し、その後、予防接種費用が振り込まれるという仕組みになっています。いわゆる“償還払い”のこのシステムは煩雑であり、一時自己負担する被災者の負担は大きなものがあります。また、市町村毎に予防接種や検診の費用には差があり、全額償還されない場合もあります。
こう考えてくると、厚労省の3月16日付けの通達は、非常に中途半端で実効性がないことが分かります。
この非常時に、国が出来ることは、被災した住民が他の市町村に避難している場合は、避難している市町村の責任で定期検診・予防接種を行うことを、決定することが必要です。その費用は、全額国が負担することを決断すべきです。
すでに、市町村によっては避難者の定期検診・予防接種をすべて、当該市町村の住民と同様に扱う所もあります。こうした先進的な取組を、国は支援するのが当然です。
実例として、秋田県八峰町の事例をご紹介します。
東日本大震災に伴う避難者の皆さんへ
(秋田県八峰町の事例)
平成23年東日本大震災により「災害救助法適用地」から八峰町へ避難されている方に対して、定期予防接種等の取り扱いを次のとおりとしています。
※災害救助法適用地以外の地域から避難されている方については、住所地の市区町村と連絡を取りながらの対応となりますが、原則として発生する費用については負担していただく取り扱いとなります。
※不明な点については、福祉保健課までお問い合わせください。(直通電話:0185-76-4608)
さらに、この実施依頼書は、予防接種を無料で避難先の市町村受けられるということではありません。いったん、予防接種費用を自己負担して、医療機関の領収証や問診票、母子手帳などの控えを住民票のある市町村窓口に郵送し、その後、予防接種費用が振り込まれるという仕組みになっています。いわゆる“償還払い”のこのシステムは煩雑であり、一時自己負担する被災者の負担は大きなものがあります。また、市町村毎に予防接種や検診の費用には差があり、全額償還されない場合もあります。
こう考えてくると、厚労省の3月16日付けの通達は、非常に中途半端で実効性がないことが分かります。
この非常時に、国が出来ることは、被災した住民が他の市町村に避難している場合は、避難している市町村の責任で定期検診・予防接種を行うことを、決定することが必要です。その費用は、全額国が負担することを決断すべきです。
すでに、市町村によっては避難者の定期検診・予防接種をすべて、当該市町村の住民と同様に扱う所もあります。こうした先進的な取組を、国は支援するのが当然です。
実例として、秋田県八峰町の事例をご紹介します。
(秋田県八峰町の事例)
平成23年東日本大震災により「災害救助法適用地」から八峰町へ避難されている方に対して、定期予防接種等の取り扱いを次のとおりとしています。
NO | 区分 | 内容 | 費用負担 |
1 | 定期予防接種 | BCG | 免除(町民と同じ) |
三種混合 | 免除(町民と同じ) | ||
麻しん風しん | 免除(町民と同じ) | ||
麻しん | 免除(町民と同じ) | ||
風しん | 免除(町民と同じ) | ||
日本脳炎 | 免除(町民と同じ) | ||
二種混合 | 免除(町民と同じ) | ||
ポリオ | 免除(町民と同じ) | ||
2 | 任意予防接種 | 子宮頸がん | 免除(国基準で) |
ヒブ | 免除(国基準で) | ||
小児用肺炎球菌 | 免除(国基準で) | ||
3 | 妊婦健康診査 | 国の基準どおり(全14回分) | 免除(国基準で) |
4 | 住民検診 | 胸部総合検診 | 免除(町民と同じ) |
喀痰細胞診 | 一部免除(町民と同じ) | ||
特定健診 | 一部免除(町民と同じ) | ||
特定健診・詳細項目 | 一部免除(町民と同じ) | ||
胃がん検診 | 一部免除(町民と同じ) | ||
大腸がん検診 | 一部免除(町民と同じ) | ||
子宮がん検診 | 一部免除(町民と同じ) | ||
乳がん・マンモ1方向 | 一部免除(町民と同じ) | ||
乳がん・マンモ2方向 | 一部免除(町民と同じ) | ||
前立腺がん検診 | 一部免除(町民と同じ) | ||
肝炎検診 | 一部免除(町民と同じ) | ||
骨粗鬆症検診 | 一部免除(町民と同じ) | ||
5 | 放課後児童クラブ | 小学1年〜3年生対象 | 免除(当分の間) |
※災害救助法適用地以外の地域から避難されている方については、住所地の市区町村と連絡を取りながらの対応となりますが、原則として発生する費用については負担していただく取り扱いとなります。
※不明な点については、福祉保健課までお問い合わせください。(直通電話:0185-76-4608)