参考写真 4月28日、茨城県のJAグループの代表が東京電力本社を訪れ、福島第一原子力発電所の事故に関する第一次の損害賠償請求を行いました。
 東電の本社を訪れたのは、JA茨城県中央会の市野沢弘会長など茨城と栃木のJAグループの代表。東京電力の清水正孝社長に対して、損害賠償の請求書を渡しました。
 原発事故に伴う農業被害について、茨城県と栃木県では、JAグループや県を中心に協議会を設置し、農産物の出荷制限や風評被害による価格の下落で農家が受けた損失をまとめました。今回請求したのは先月分の被害額で、茨城県でおよそ18億円、栃木県でおよそ12億円のあわせて30億円あまりに上りました。
 NHKの報道によると、請求を終えたJA茨城県中央会の市野沢会長は「東京電力からは誠意のある謝罪などはなく、通りいっぺんの返事で前向きな回答はなかった。もう一歩踏み込んで賠償に応じる姿勢が欲しかった」とかったと伝えられています。
 茨城県の農家の原発事故に関する今回の損害賠償額は、野菜などの風評被害だけで約14億円、出荷停止で廃棄した原乳は約4億円の被害と算定しました。3月11日から同月末に出荷された農作物40品目と、出荷停止で廃棄した原乳が対象。農作物は昨年3月に東京の市場で付けられた価格を基準価格とし、下落した分を算定した。被害を受けたのは農作物が4959戸で、原乳は480戸が対象となっています。
 40品目はレタス、ピーマン、ネギなどで、通常の2割程度の価格しか付かなかったこともあります。
 第一回目の集計には、ホウレンソウなどの出荷停止になった分は含まれておらず、4月以降も東電に請求すことにしています。
 茨城の農産物の風評被害は、例えば、4月22日の県議会農林水産委員会に提出された資料によると、出荷制限が掛かる前でも、ねぎやほうれん、春菊、小松菜などが“茨城産”というだけで返品されたケースもありました。また、小松菜、チンゲン菜など葉菜類だけでなく、トマト、キュウリ、ピーマンなども売れ残りで返品されることが多くなりました。挙げ句の果てには、長期貯蔵された甘藷まで荷受け拒否される事態に至りました。
 また、競りに掛けられた農産物も値段の下落が激しく、茨城県の主要な作物の一つである“みず菜”は、17日にキロ490円で取引されたものが、25日には88円まで82%も下落しました。
茨城産野菜の卸値(キロ当たり)
 17日25日割合
ピーマン610円189円69%
きゅうり229円85円63%
みず菜490円88円82%
いちご719円448円38%

参考:東電福島原発の茨城県産農産物への影響(県議会農林水産委員会参考資料)