4月28日、衆議院総務委員会で地方議員年金を廃止する「地方公務員等共済組合法の一部改正案」の審議が行われ、公明党としては、地方議員年金制度の廃止はやむを得ないとの立場で質疑を行いました。結果、法案は全会一致で可決されました。
 今後、衆議院本会議での採決、参議院での審議を経て、地方議員の年金制度は6月1日に廃止される見込みです。
 また、「地方議会議員年金制度の廃止後、概ね一年程度を目途として、地方公共団体の長の取扱い等を参考として、国民の政治参加や地方議会における人材確保の観点を踏まえた新たな年金制度について検討を行うこと。また、検討に当たっては、地方議会議員の取扱いについての国民世論に留意するとともに、公務員共済制度や厚生年金制度の対象者との制度面あるいは負担と給付の面における均衡に十分配慮すること」との付帯決議が、全会一致で採択されました。これは、地方公務員共済制度への加入も含めた新たな年金制度について検討を行うことを求めたものです。

参考:「地方公務員等共済組合法の一部改正案」(PDF版)
参考:「地方公務員等共済組合法の一部改正案の付帯決議」(PDF版)
 地方議員の年金は、市町村合併などで議員が減ったため、退職した年金受給者が増えたのに対し、掛け金を負担する議員が減少し、年金財源が破綻することが確実になりました。
 1998年に6万人いた市町村議員は、2010年には3万4000人に減り、逆に年金受給者は1万2000人も増えました。2009年度の収入521億円に対し、年金支給など支出は663億円で、1年間で142億円もの赤字となりました。それに対して積立金は246億円しかなく、今年度(2011年度)中には枯渇してしまいます。
 地方議員年金の廃止にあたって、現職の議員で退職年金の受給資格(在職12年以上)を満たす者は、制度廃止前の地方議会議員年金制度による退職年金の支給を受けることが出来ます。または議員掛金金総額の80%を、退職一時金として受け取ることが出来ます。(年金か一時金かを選択します)
 現職議員で、受給資格がない議員は、議員掛金の総額の80%を退職時に給付されることになります。
 年金制度が廃止されれば、議員から掛け金もなくなるわけですから、今後の年金支給のため財源は、地方自治体の負担となります。
(詳しくは、「地方議員年金廃止のための地方負担1兆1400億円」との記事をご参照下さい)
 政府は税金を使って地方議員の年金を存続させることは国民の理解が得られないと見解を示しています。しかし、これによって市町村負担金は約5倍も増加し、財政が圧迫されることになります。
 そもそも、地方議員の年金制度の制度設計に欠陥があったのではないか、との疑念を払拭することはできません。早期に、付帯決議にある公務員共済への再加入を検討し、地方自治体の負担軽減と制度の安定的な運用を図るべきです。