参考写真 今回の東日本大震災では、日本の企業数の99.7%を占め、雇用の7割を支える“日本経済の屋台骨”である中小企業に、甚大な被害がでました。先の見えない状況下で、必死の経営再建努力が続けられています。
 そうした中、奮闘する経営者の負担を軽減し、支えとなるための支援策が公明党の強い主張で実現しました。2011年度第1次補正予算に盛り込まれた「東日本大震災復興特別貸付」と「東日本大震災復興緊急保証」の相談業務が5月16日からスタートしています。実際の融資・保証は来週月曜日(5月23日)から始まります。
 復興特別貸付は、(1)地震や津波など震災による直接的な被害を受けた中小企業(2)東京電力福島第1原子力発電所の事故に伴う警戒区域などにある中小企業(3)これらの企業と一定の取引がある中小企業―などを対象に、政府系金融機関が長期・低利の融資を行うものです。
 中でも「特別利子補給制度」は、特別貸付から借り入れる中小企業のうち、地震や津波で工場の全壊や流失などの大きな被害を受けた企業を対象に融資を無利子化する制度です。
 公明党の強い後押しで復興特別貸付制度に100億円が計上され、無利子融資を可能にしたことで、中小企業が返済負担を軽減できる利点は大きいといえます。
 一方、復興緊急保証では、一般保証や災害関係保証・セーフティネット保証(5号)の既存制度とは別枠で、信用保証協会が債務の全額を保証します。対象となるのは、特定被災区域(岩手、宮城、福島3県の全域と青森、茨城、栃木、千葉、新潟、長野各県の一部市町村)で直接被害を受けた中小企業です。また、これらの企業と取引関係があり、震災で業況が悪化した特定被災区域外の中小企業も保証対象となります。一般保証とは別枠でセーフティネット保証、災害関係保証と合わせて無担保で最大1億6000万円、有担保を加えると最大5億6000万円を信用保証協会が全額債務保証します。
 なお、震災の直接被害を証明するには、事業所のある市区町村が発行するり災証明が必要(事後提出も可能)。り災証明がなくても、損害を受けた事実を証明するものがあれば、申請できます。特定被災区域の企業と取引があることを証明するには、取引先企業との契約書や納品書など取引先の所在地や取引の事実が分かる書類が必要です。
 特別貸付に関する相談、申請は日本政策金融公庫(日本公庫)と商工組合中央金庫(商工中金)で。緊急保証は全国の信用保証協会で受け付けます。
 日本政策金融公庫によると、融資や返済の相談は震災発生から5月12日までに受けた件数で合計4万1413件に上りました。特に、宮城、福島両県など被害が大きかった地域からの相談は2万8328件と全体の約7割を占めています。
 日本は長期の景気低迷と震災で二重の苦境下にあります。ここで中小企業が経営危機に陥れば、網の目のように広がった取引関係を通じて、経営不安が広がってしまいます。
 支援策の意義は地元経済の活性化だけでなく、こうした日本経済全体への「負の連鎖」を断ち切る力にもなります。その活用を促すための周知徹底を政府に求めるとともに、弾力的な運用を政府金融機関、保証協会には求めたいと思います。
参考:「東日本大震災復興特別貸付」の創設について
参考:東日本大震災復興緊急保証の概要