参考写真 6月15日、井手よしひろ県議ら茨城県議会公明党議員会は、橋本知事に「東日本大震災に関する要望書」を提出しました。
 3月11日、茨城県民は東日本大震災とそれに続く大津波、福島第1発電所の事故という未曾有の危機に遭遇しました。それから3カ月以上が経過した今現在でも、県民の日常生活及び事業活動は、いまだ回復途上にあります。
 井手県議ら公明党県議団は、地震発生から寝食を惜しんで、現状の把握、有効な復興・普及対策の提案、被災者の激励など全力を上げてきました。
参考写真 東日本大震災からの復興に当たって最も重要なことは、都市の再生、産業の再建、各種インフラの復旧─など、物理的、物質的な復旧・復興はもちろんのこと、日本国憲法第13条に定められるところの「幸福追求権」並びに第25条に定められるところの「生存権」を念頭に置き、一人ひとりの人間に焦点を当てた「人間の復興」を目指すことです。
 また、原子力発電所事故からの復旧・復興への取り組みは、単に日本国だけ問題ではなく、諸外国の英知と最新技術などを結集して、全人類が未来にわたって共有し、語り継がなくてはならない文明史的な重要性を持っています。
 県内各地の被災地域の復興施策や実施の方途については、地元市町村・地域住民の意向を最大限に尊重しつつ、これを県が最大限の支援を行うことが重要です。さらに、各被災地域の復興後の姿は、それぞれの文化と伝統を尊重しつつ「支えあう社会」「共生社会」としての21世紀の地域社会の模範となるように先駆的取組みを目指すべきです。
 また、今回の震災対策、原発対応については、国のリーダシップが著しく欠如しており、国の政策を受け身で待つことでは、茨城県の復旧・復興にとって大いなる禍根を残すことになると危惧しています。県は、基礎自治体である市町村との綿密な連携の上、国に対して万全の復旧・復興対策を強く要望すべきです。
 以上のような基本的な考えのもと、橋本知事に対して、65項目の具体的な施策実施を要望したものです。
参考写真 知事に要望書を手渡した井手県議は、特に、震災復興基金の創設と東海第2発電所の防災対策強化について、知事に強く申し入れました。
 井手県議は「県内の液状化被害は深刻な現状があります。現時点での支援の枠組みでは、その生活再建はおぼつかない。二重ローンの解消策とか、上乗せの支援金の支給など、手厚い支援策を講ずる必要があります。また、民地の擁壁や土留めなどの崩壊によって、二次被害が懸念されています。こうした直接、税金での支援が難しい災害復興には、“震災復興基金”による支援策がどうしても必要です。その一刻も早い創設に向けて国に働きかけてほしい」と訴えました。これに対して橋本知事は「復興基金は阪神淡路大震災では、わずか3ヶ月で立ち上がった。当時とは金利など大きな差があることは承知しているが、地域地域によって支援の枠組みは変わり、茨城県独自の復興策を考えるとき、震災復興基金は非常に重要であり、それ以外の枠組みでは支援策を充実させることは難しい。できるだけ早く、相当額の基金を積み上げるよう国に要望していく」と答えました。
参考写真 また、今年11月にも見込まれる東海第2発電所の再稼働に関して、井手県議は「県民の不安払拭を第一の条件とすることが最も重要。具体的には、福島第1発電所の原発事故が収束していること、抜本的な津波対策の見直しが完了していること、20キロ圏への原子力災害情報伝達体制の整備が確立していることなどを前提条件として、慎重に対応すべきだ」と強調しました。橋本知事は「国が浜岡原発の停止を要請したが、その理由が原発立地県に十分に説明されていません。なぜ、浜岡原発はダメで、他の原発が大丈夫なのか、その科学的な理由を十分に説明してもらいたい。また、福島原発の事故収束にめどが立たない間の議論は難しいと考えている」と、国の対応について不信感をあらわにしました。
 続いて、高崎進県議が県有文化・スポーツ施設の改修工事を急ぐように要望。特に、県民の文化芸術の一大拠点である「県民文化センター大ホール」の整備を急ぐよう求めました。知事は「国の査定では、小規模破損という査定であったが、実際には天井部や柱、梁、構造壁など影響は深刻で、改修工事が終わるまでには早くても1年程度かかる見込み。専門家の詳細な検査結果をもとに、改修計画を進めていく」と応じました。
参考写真 田村佳子県議は、県内観光業の深刻な風評被害の現状を訴えました。筑波山周辺の旅館業、これからシーズンを迎える海水浴関連の事業など、まさに危機的な状況にあります。県は、東電や国に風評被害補償を認めさせるとともに、風評被害払拭のPR活動をしっかりと行っていただきたい」と語りました。橋本知事は「何よりも福島原発の安定停止が最重要課題。その上で、JCO事故の際も観光業への賠償は行われており、業界団体を県としてもしっかり支援していく。補正予算を認めていただければ、銀座に出店する茨城県のアンテナショップも前倒しでオープンさせたい」と、積極的な姿勢を示しました。
 八島功男県議は、中小企業の融資や農林水産業への融資の充実について、「現行の支援策では、どうしても信用力に問題がある被災者への融資が円滑に行われていない。県として、こうしたもともと経営の体力がおちている事業者への支援を、もっと積極的に行うべきではないか」と提案しました。橋本知事は「税金という多くの県民から頂いた資金を、個々の事業に投入するわけであり、その運用には自ずから限界がある。“震災復興基金”など、地方が柔軟に運用できる仕組みを早急に立ち上げてもらう必要がある」と、考え方を示しました。
(写真は上から、橋本昌知事に要望書を手渡す県議会公明党議員団、橋本知事、高崎進県議、田村佳子県議、八島功男県議)
参考:茨城県議会公明党「東日本大震災に関する要望書」(PDF版)