110628air  6月28日、茨城空港利用促進協議会の平成23年度総会が開催され、井手よしひろ県議は協議会参与として出席しました。
 茨城空港は昨年3月11日、首都圏第3空港として、日本初のLCC(格安航空会社)として、全国注視の中、開港しました。開港までの茨城空港への評価は、他の地方空港の非効率、非採算性から非常に厳しいものがありました。
 しかし、茨城空港利用促進協議会を中心とする官民一体となった利用促進策が奏功し、今年5月には利用客が100万人を突破しました。また、LCC対応の空港という明確なコンセプトが成功し、国内線のスカイマーク、国際線の中国春秋航空が定期便を就航させ、今年3月末までの利用者数は21万9585人となりました。ちなみにスカイマークの茨城=神戸便の平均搭乗率は61.7%、茨城=札幌便は78.6%、春秋航空の茨城=上海便は86%でした。
 その結果、県の開発公社運営している空港ターミナルビルは、初年度2000万円の赤字見込みから、震災による被害修理費を特損として計上した後でも、1200万円の黒字を計上しました。
110628koen2 こうした状況の中、奇しくも開港一年の記念日である平成23年3月11日、東日本大震災が発生しました。福島原発に近いというマイナスのイメージが先行し、アシアナ航空が運休し、春秋航空が減便しています。LCC空港としてインバウンドの拡大を目指していた茨城空港は深刻な苦境=風評被害を受けました。中国や台湾では茨城空港のロビーの天井が落ちてくるシーンが繰り返し映し出され、茨城空港のイメージが悪くなったといわれています。
 総会後の講演会では、早稲田大学アジア研究機構の戸崎肇氏が「震災後の茨城空港の復興戦略」と題して講演しました。
 以下、そのポイントを列記してみると。
  • インバウンド観光を推進するためには、海外からの視点を導入する必要がある。
  • 国と一体となった取り組みの重要性。特にビザ発給の簡素化が必要。
  • 風評被害の払拭のために、海外へのアピール、科学的マーケティング。
  • 空港を核とした周辺整備。地元が空港と一体的に街づくりされなくてはいけない。
  • ビジネスジェットへの対応を早期に検討すべき。

 講演は全体として示唆的で様々な最新の情報を提供していただきました。しかし、肝心のビジネスジェットへの対応や裕福な海外顧客の誘致の具体策には触れられず、不満が残る内容でした。