
今回の問題は、畜産業者、稲わら業者の責任ではなく、偏に国の危機管理の欠陥といえます。
さて、実際に流通した牛肉の危険性について、厚生労働省などは「知らずに口にしても少量なら健康に影響はない」と説明していますが、本来、体に取り組む必要がない放射性物質が入る可能性があるわけですから、「健康に影響がないわけはありません!」。放射性セシウムで汚染された牛肉のリスクを、整理してみたいと思います。
汚染された牛肉を200g食べると0.01mSvの被ばく、100日で半分は体外に排出
今回の問題では、暫定基準値(1kg当たり500ベクレル)の最大で8倍超4350ベクレルのセシウムが牛肉から検出されています。京都医療科学大の遠藤啓吾学長(放射線医学)は、NHKのインタビューに答えて、「南相馬市の農家が出荷した牛の肉から最高で1キログラム当たり3400ベクレルの放射性セシウムが検出されたケースでは、わらから7万5000ベクレルが検出された。牛が食べた量や、食べてから出荷されるまでの期間にもよるが、今回、わらから9万7000ベクレル検出されているということは牛肉からも基準を超える放射性セシウムが検出される可能性がある。ただ、牛肉は1回に食べる量が200から300グラム程度なので、数回食べただけでは健康に影響が出るとは考えられない。基準を超えた牛肉を食べたかもしれないと過度に心配することなく、冷静に対応してほしい。一方、国は、暫定基準値を超える肉が流通しないよう、餌や牛肉の検査態勢を早急に整えるべきだ」と話しています。
さらに、共同通信系の新聞社に配信された記事で遠藤学長は、「牛肉は毎日大量に口にする食材ではない。仮に4000ベクレル牛肉200グラムを5回食べても被ばく線量は約0.05ミリシーベルト。体への影響は全く心配ない」と語っています。「科学的には100ミリシーベルトを超えると発がんリスクが高まるとされている。放射性セシウムの中には半減期が30年と長いものもあるが、体内に入っても尿や便で外に出るため、実際に体が受ける影響は約100日で半分になる。神経質になりすぎず、普段通りの食事を続けても大丈夫」と話しています。
そもそも、放射性セシウムの暫定基準値は、その食品を1年間毎日、平均的な量を食べ続けると想定した上で、その食品だけでなくその他の食品分も計算して、すべての年間の被ばく線量が5ミリシーベルト以内になりように決められています。基準値を超える牛肉をよほど食べない限り、他の食べ物と合わせても年5ミリシーベルトには達しないとされています。
しかし、この基準値は大きな矛盾をはらんでいます。一般人が浴びることが許容される被ばく線量の限度は平常時・年1ミリシーベルトとされるのに対して、食品安全員会がセシウムによる被ぱく線量「年5ミリシーベルト」という基準を容認していつという事実です。安全委員会は「危機的な社会状況を踏まえた緊急的なもの」とも、言っていますがダブルスタンダードだとの批判を免れません。特に、大人より放射線に対する感受性が高い子ども達の基準も、この5ミリシーベルトでよいのか、大いに疑問です。
被ばく線量が増えればそれだけがんのリスクは増すことは確実です。年5ミリシーベルトまでなら許容されるということでは絶対にありません。
「少量なら健康に影響はない」という言葉には、何の説得力もありません。実際に、自分自身がどの程度の内部被ばくを受けているのか、知ることが出来る体制を整備することが必要ではないでしょうか。内部被ばくを測定するには、全身測定装置「ホールボディーカウンター」が必要です。1台数千万円するといわれるホールボディーカウンターを、希望者全員が検査できるようにすることは大変な費用が嵩みます。
しかし、北海道がんセンターでは、ホールボディカウンターを使った内部被ばく量測定を始めました。1回数千円で各地から問い合わせが相次いでいます。茨城県内でも、県立中央病院には、このホールボディカウンターが配備されています。食物からの内部被ばくが心配な人には、こうした検査が受けられるよう、東電や政府は対策を講ずるべきだと考えます。
(写真上:あくまでイメージの写真です。写真下:縦型ホールボディカウンター)

被ばく線量が増えればそれだけがんのリスクは増すことは確実です。年5ミリシーベルトまでなら許容されるということでは絶対にありません。
「少量なら健康に影響はない」という言葉には、何の説得力もありません。実際に、自分自身がどの程度の内部被ばくを受けているのか、知ることが出来る体制を整備することが必要ではないでしょうか。内部被ばくを測定するには、全身測定装置「ホールボディーカウンター」が必要です。1台数千万円するといわれるホールボディーカウンターを、希望者全員が検査できるようにすることは大変な費用が嵩みます。
しかし、北海道がんセンターでは、ホールボディカウンターを使った内部被ばく量測定を始めました。1回数千円で各地から問い合わせが相次いでいます。茨城県内でも、県立中央病院には、このホールボディカウンターが配備されています。食物からの内部被ばくが心配な人には、こうした検査が受けられるよう、東電や政府は対策を講ずるべきだと考えます。
(写真上:あくまでイメージの写真です。写真下:縦型ホールボディカウンター)