汚染牛は全量国が買い取りを
参考写真 放射性セシウムに汚染された肉牛の影響が全国に広がっています。今日(7月22日)行われたヤングミセス対象の県議会報告会でも、政府の後手後手に回る対応策に、怒りの声が寄せられました。
 感染が疑われる肉牛は福島、山形、宮城、新潟などで確認され、さらに拡大する様相となってきました。既に各地の小売店や焼肉チェーン店などへ流通され、学校給食でも提供されていたことが明らかになっています。
 厚生労働省は汚染された肉牛を摂取しても健康に影響はないとしていますが、次々と発覚する汚染牛流通の事態に国民の不安は高まっています。
 肉牛が放射性セシウムに汚染した原因は、飼料として与えられた「稲わら」にあることが判明しています。稲わらは「霜降り肉」をつくるのに効果的とされ、多くの畜産農家が与えている飼料の一つです。
 本来、稲わらは秋に稲を刈って冬に乾燥させ、ロール状に保管されます。今年の冬は悪天候が続いたことから、春先まで屋外で乾燥させた農家もあり、この間に東電福島第1原発事故によって放射能に汚染されたとされています。
 問題は、事故発生後の政府の対応にあることは明白です。
 農林水産省は3月19日、家畜に与える「牧草」について畜産農家へ「事故発生前に刈り取り、事故後に屋内で保管したもの」とするよう通知を出したものの、肝心の稲わらを供給する稲作農家に対 しては何の対応も行っていません。
 政府の失態は明白です。稲わらの放射能汚染の可能性を見過ごし、その危険性に言及しなかったことが今回の原因であることは間違いありません。
 放射性セシウムが検出された稲わらは、これまでに宮城、岩手、福島の3県産で確認されています。政府の落ち度が感染を拡大させたと言っても過言ではありません。
 政府は農家の稲わら利用状況や販売業者の販売先などに関する全国調査の実施を決めました。稲わらは個人間の取引が多く、実態の把握は困難とされています。被害の拡大を防ぐため、迅速かつ徹底的な調査の実施が必要です。
 また、政府は汚染された肉牛の出荷を防ぐ検査体制を整えるため、福島県全域に肉牛の出荷停止も指示しました。放射能の問題は1、2年で終わる話ではありません。これでは、東北の畜産業の将来が見えません。廃業を考える人も出始めています。
 政府は風評被害による損害も含めた畜産農家に対する補償を明言しています。事態の経緯を踏まえれば当然の対応であり、政府は出荷牛の全頭買い上げを実施すべきです。
茨城県内14の畜産農家の稲わらを検査
 7月22日、茨城県の橋本知事は記者会見で、県内の畜産農家では原発事故のあとに収穫されたり、屋外で保管されたりしていた稲わらを肉牛に与えていた農家が14あり、県はこれらの農家の稲わらについて放射性物質の検査を行う方針を、明らかにしました。
 茨城県内1267の畜産農家で聞き取り調査を行ったところ、原発の事故のあとに収穫された稲わらをエサとして使っていた肉牛農家が12あったほか、原発事故後も屋外で保管していた稲わらを与えていた農家が2つありました。これらの農家からこれまでどのくらいの牛が出荷されていたかについては、現在、調査中です。
 また、茨城県外で生産され保管状況のわからない稲わらを原発事故のあとに購入した農家が39あり、橋本知事は、これらの農家の稲わらについて放射性物質の検査を行い、来週早々にも結果を明らかにする考えも同時に示しました。
 茨城県は、これらの農家に対しては検査が終わるまで出荷を控えるよう指導しています。
 すべての牛の肉が放射性セシウムで汚染されていないか調べる全頭検査については「県内では1年間に3万頭以上の牛が出荷され、県の施設ではたくさんは検査できないので不可能だ。安全を確認するためにすべての農家を検査するのは有力な方法だと思う」と述べました。
(知事のコメントは、NHKニュースより引用しました)