参考写真 8月11日衆院本会議で、東日本大震災で発生した「がれき」の処理を被災自治体の要請に応じて国が代行する法案が全会一致で可決され、今国会中に成立する見通しとなりました。
 がれき処理法案は、がれきの処理費用に対する自治体の負担を軽減。処理費用に対する国の補助率を現行の86.5%から平均95%まで引き上げます。財政余力の厳しい自治体には、最大99%まで手厚く国が支援し、自治体の負担分については、地方交付税の加算などで対応し、最終的に費用は国が全額負担します。国の補助率引き上げのための財源は、都道府県に設置されている「地域グリーンニューディール基金」を活用することにしています。
 また、法案では、がれき処理の基本方針や工程表の策定を国の責務としました。さらに、一時保管場所や最終処分場確保のため、被災地以外の自治体に協力を求めることや、海に流出したがれきの処理指針を策定することなども国の役割として明記しました。
 公明党は、地震や津波で甚大な被害を受けた自治体にとって、処理能力を大幅に超えるがれきの撤去は困難であるとし、復旧・復興の第一歩であるがれき処理を国の責任で行うべきと主張。また、がれき処理費用の最大9割を国が補助し、残り1割を被災市町村が一時的に負担した後に地方交付税で措置する政府案に対し、1割でも地方自治体の大きな負担になるとし、自治体の一時負担をなくすよう訴えていました。
参考写真 環境省によると、津波被害が大きかった岩手、宮城、福島3県のがれき推計量に対する搬入済み量の割合は8月9日現在、最も進んでいる岩手県で68%、3県では47%と半分以下にとどまっています。市では宮城県石巻市、多賀城市が23%にとどまっています。震災から5カ月が経過しても処理が進んでいないことから、がれき処理法の成立による処理の加速化が期待されています。
 がれき処理は、東北3県のだけの問題ではありません。茨城県でも、各市町村にとって大きな問題となっています。災害発生から5カ月を経過しても、被災した自宅の解体や改修が本格化するこれから、その解体がれきの処分は被災者にとって大きな負担となってます。茨城県内では、被災した住宅の解体費用は坪単価3万円とも言われ、全壊した被災者が解体費用だけで100万円も掛かる事例が続発しています。こうした解体がれきの処分費も自治体が負担することが必要であり、その意味でもがれき処分法の成立は喫緊の課題です。
処理の迅速化に期待
宮城・石巻市長 亀山紘氏

(2011/8/12公明新聞のインタビュー記事より)
 東日本大震災で発生した石巻市のがれきの量は616万トンと突出しており、岩手県の総量よりも多い。
 迅速な、がれき処理を行う上で一番心配しているのは処理費用の負担だ。がれき処理法が成立し、自治体の負担を抑えてくれたのは大変にありがたい。
 これから家屋などの解体が始まり、がれきの1次仮置き場がさらに必要になる。ただ、市内の1次仮置き場は少ないため、がれきの2次処理を進めながら、1次仮置き場の確保を進めなくてはならない。法律ができたおかげで、これらの作業のスピードアップを期待している。
 被災者支援では、被災者の目線で法案や予算への対応を迅速に行い、避難者などの生活再建を一刻も早く進めることが急務だ。こうした点で公明党の力を一段と貸してほしい。