参考写真 8月30日、衆参両院の本会議で首相指名選挙が行われ、民主党の野田佳彦代表が新首相に選出されました。政権交代からわずか2年で3人目の首相の誕生であり、民主党の政権担当能力に国民の不安はむしろ増大しています。
 新政権に課題は山積しています。東日本大震災の復旧・復興や原発事故の収束は待ったなしの課題。これまでの民主党政権の動きは鈍すぎました。スピード感のある対応で、被災地の声に応えてもらいたいと思います。
 政府は5年間の集中復興期間に、少なくとも19兆円を投入すると言ってしますが、財源については肝心な民主党内での合意ができていません。新政権は財源確保の議論を急がなければなりません。
 大震災、原発事故に加えて、民主党政権で悪化した日米関係など外交の停滞は放置できません。さらに、世界経済が悪化していく中で、円高デフレは止まらず、日本経済は再生への出口が見えていません。この状況の打破も急務です。
 雇用の減少や地域経済の衰退を招く産業空洞化は深刻で、帝国データバンクの調査では、国内産業の空洞化に懸念を持つ企業は製造業を中に76.5%に達しています。空前の円高や電力不安で、「このままでは日本で操業できない」と悲鳴が、ここ彼処から上がっています。
 問題は、財政再建に取り組もうとすると、景気悪化を招くという二律背反の状況です。財政再建のプログラムを示しながら、経済成長を促し、金融緩和など経済刺激策を続けるという難しい舵取りが求められることになります。
 さらに、被災地茨城県の議員として、一つ加えるならば、被災地の復旧・復興に格差を付けてはいけない、ということを指摘しなければなりません。壊滅的な被害を受けた三陸沿岸の町々や、福島原発に隣接する地域とは、確かに状況は違うかもしれませんが、被害総額2兆5000億円という試算が示すように、そこに住む住民や中小企業などにとって、立ち上がるためには、東北三県と同様の手厚い国の支援が必要です。一刻も早く、野田新総理にあっては、被災地茨城を実際に視察されることを要望します。
 山積するわが国の課題に対して、民主党政権は機動的な対応ができませんでした。マニフェストで政権交代を果たしたこともあって、見直しや修正ができず、マニフェストが財源なき幻想(ある意味で国民へのウソ)であることが判明しても、それを墨守しようとこだわりました。
 先ごろ、ようやく民主党は、自民、公明両党との間で子ども手当の廃止など、マニフェストの主要政策見 直しで合意しましたが、新政権は、この3党合意からぶれることなく、復旧・復興への新たな合意形成に努力を重ねてもらいたい。「ねじれ国会」では、野党と協議し、政治を進めていく以外に、国難を克服することはでません。民主党が野党時代にやっていたような「対決型政治」では国政は完全に停滞してしまいます。公明党など野党が大震災からの復旧・復興や原発事故収束のために、何とか民主党と合意しようという姿勢を示しているにもかかわらず、民主党の党内抗争が続くようでは、どうしようもありません。
 政治の停滞や「民主党問題」が日本経済にとっての最大の障害になることは絶対に許されません。