参考写真 9月26日、日立市の吉成明市長は、「日立市震災復興計画」を公表しました。
 震災復興計画では、「東日本大震災からの早急な復旧を進めるとともに、単なる被害の復旧だけでなく、震災を教訓とした災害に強いまちづくり、そして、震災を契機とした活力あるまちづくりに向けた計画的な復興に取り組むことによって、今後、市民が安心して暮らすことのできる活力にあふれたまちを実現していくため、日立市震災復興計画を策定しました」と、その策定の目的を示しました。その上で、復興の基本理念として以下の3点を掲げています。
震災により被害を受けた「市民生活の再建」と「公共施設の復旧・復興」に向けた取組を迅速に進めます。
今回の震災を教訓として、各種防災対策の拡充等を図るとともに、自助・共助・公助で支える安全な地域づくりを一層推進し、災害に強く、誰もが安心して暮らせるまちづくりを進めます。
震災からの復興を、従前から市が抱えていた構造的な課題の解決や、利便性・効率性を優先したライフスタイルの転換期として捉え、少子高齢化やエネルギー問題などに先導的に取り組むことで、活力ある日立市の再生を図ります。
 具体的な内容で注目する点は、日立市役所の早期の改築(建て替え)を明記したことです。
 日立市役所は東日本大震災で、庁舎間の連絡通の破損、段差の発生、内外壁の亀裂等大きな被害を受けて一部が使えなくなりました。そもそも、日立市役所は、昨年実施した耐震診断の結果、震度6強の揺れで倒壊のおそれがあると診断されていました。
参考写真 日立市は駐車場に、プレハブの臨時庁舎を建設し、市民の利用が多い一部の部署を移して業務を続けています。復興計画の中では、「建物の安全性の確保だけではなく、施設の老朽化、狭隘化、バリアフリー化への対応といった課題もあるため、耐震補強や大規模改修では不十分であり、改築(建て替え)が望ましい」と結論づけました。
 日立市によりますと現庁舎をそのまま使用し、耐震補強や免震の工事を施すと51億7000万円の費用が掛かると試算しました。(内訳は耐震補強費6.7億円、大規模改修工事24.9億円、設計・監理費1.6億円、移転費1億円、免震補強工事16.7億円、免震設計・監理費0.8億円)
 その上、現庁舎の改修では耐用年数が20年程度と短いため、新規の立て替えが望ましいと判断しました。
 日立市と同規模のつくば市では、新庁舎に約80億円を投入しました。建て直しの財源については、「庁舎積立金」が約20億円積み立てられており、残りは国の支援が受けられる合併特例債を活用することになると考えられます。合併特例市は、平成31年度まで、その活用が延長され、総額の95%の金額の起債が認められています。その起債額の4分の3を国が負担します。仮に80億円の予算で新たな市庁舎を建設すると、最終的な市に負担額は17億2500万円となります。80億円(必要額)−20億円(基金積立額)=60億円(起債額)。60億円×5%=3億円(合併特例債に対象外)。60億円×95%×25%=14億2500万円(合併特例債の内、日立市負担分)。3億円+14億2500万円=17億2500万円(日立市の負担額)
 吉成市長は井手よしひろ県議への説明の中で、「大規模改修か(新築)建て替えかをを比較考量し、建て替えが妥当と判断した。大規模改修でも52億円程度の費用が必要であり、震災復興のシンボルとして、市民に親しまれる簡素で効率的な庁舎を建設したい。来年3月までに議会とも十分協議して位置や規模などの方向性を示したい」と述べました。
参考:日立市震災復興計画