参考写真 9月27日、茨城県の橋本昌知事と茨城県選出の国会議員は、野田佳彦首相や民主党の輿石東幹事長ら政府・民主党幹部を訪問し、国の平成23年度度第3次補正予算に、震災復興基金の対象に茨城県を含めることなど、東北3県と同様に扱うことを求める要望書を提出しました。
 要望書では、東日本大震災による県内の深刻な被害状況を説明。被害総額や地震保険の支払額などが、東北3県に比べても大きいことを強調しています。その上で、国の支援策の対象から茨城県が外されていたり、支援の規模が過小である事業を具体的に指摘しました。
 現在、東北3県にだけ国が3次補正で求めようと検討している震災復興基金や、自由度の高い復興交付金、原子力交付金、地域グリーンニューディール基金の対象に茨城県を含めることを求めています。
 橋本知事は、野田総理との会見で、
  • 茨城県は東北3県に次いで大きな被害を受けた。また、福島県に次いで原発事故の被害を受けている。

  • 国の3次補正予算では、地域グリーンニューディール基金が東北地方のみ対象としているが被災地である本県も含めるべき。

  • 福島で最先端のがん治療法であるBNCTの実証開発を行うとされているが、これは茨城県が以前から、国の支援を受けながら取り組んできた研究であり研究拠点の整備も進みつつある。ぜひ茨城県での研究も引き続き支援願いたい。

  • 茨城県を忘れないでいただきたい。
などと述べました。
 これに対して、野田総理は「橋本知事からの要望はよくわかりました」と答えました。
 また、平野復興担当大臣は、「本日の予算委員会での石井啓一議員の質問に対し、財務大臣が答弁したように、東北3県だけでなく他の被災県もしっかりと対応する。その方向を目指したい」と対応しました。
 さらに、輿石幹事長は、「地域グリーンニューディール基金が東北6県だけというのは、実態をみてもおかしい。(通常の)地域ではなく、被災の実態にあわせるべきである」「財務省を批判するのではなく、こういうことこそ政治主導で対応すべき」などと回答しました。
 この要望に先立ち、衆議院の予算員会で質問に立った公明党の石井啓一政調会長(北関東比例ブロック:つくば市在住)は、野田総理に対して「茨城県の震災による被害額試算は2兆5000億円に達する。茨城県の復興支援について、東北3県と同様に扱うべきだ」と質しました。
茨城を忘れないで下さい
 東日本大震災からの復旧・復興、さらには福島第一原子力発電所事故の収束などのため、日夜奮闘していただいていることに敬意を
表します。
 今回の大震災では、本県も約2兆5千億円と福島県の8割にも及ぶ被害を受けており、また、地震保険支払額も福島県とほぼ同額になっております。
 さらに、本県の場合、福島原発の影響をまともに受けており、健康被害はもとより、農畜水産物の出荷規制、風評被害に苦しんでいるほか、ホテルや旅館では、閑古鳥が鳴いております。
 国の復興基本方針や第2次補正予算については、茨城県を東北3県と同様に扱うよう、これまでも強く要望してきたところであります。
 然るに最近の第3次補正予算をめぐる動きを見ますと、東北3県あるいは東北地方に限って財政支援を講じようとする例が数多く見られるところであります。
 例えば、環境省においては、地域グリーンニューディール基金を活用した対策を東北6県を対象に講じようとしておられますが、各県の被害状況などを見れば、我が茨城県も対象とされて当然ではないかと考えます。
 茨城県では、地震・津波による被害や福島原発事故の影響により、県民の日常生活あるいは様々な経済活動などが国において想像している以上に厳しい状況にあります。
 政府・与党にあっては、第3次補正予算の編成に当たって、何卒、茨城県及び県内市町村を東北3県及び3県内市町村と同様に取り扱われることを強く要望します。
【復興対策本部】
◎復興交付金(使い勝手のよい交付金)について
 補助率のかさ上げや補助対象の拡大など、地域の実情にあわせ被災自治体が提案する事業を幅広く採択すること。
 特に、陸・海・空の広域交通ネットワータの早急な整備が不可欠であるため、広域的な事業も対象とすること。
【復興対策本部・総務省】
◎復興基金について
 国の復興基本方針に位置づけられた基金については、東北3県と同じ枠組で本県を支援すること。
【復興対策本部・経済産業省・国土交通省・農林水産省ほか】
◎原子力交付金について
 原発事故による影響を払拭するための息の長い風評被害対策等に活用できる使途の自由な交付金を創設すること。
【その他の主な事例】
◎地域グリーンニューディール基金について
 国の復興基本方針に示されている防災拠点等への自家発電装置などの自立・分散型エネルギーの導入については、基金の拡充にあたって、被災県である本県も対象に加えること。
◎地域医療提供体制の再構築(地域医療再生基金の積み増し)について
 医療提供体制の再構築に加え、医師の県外流出や新規就業のキャンセル等への対応等に係る支援について、本県を対象に加えること。
◎農業・農村の復興について
 首都圏の食料供給基地であり農業産出額が全国第2位の本県においても、農地や農業用施設などに甚大な被害が発生しているほか、原発事故の影響により出荷制限や風評被害など深刻な事騒が生じていることから、東北3県だけでなく本県も事業の対象に加えること。
◎高速道路の無料化について
 本格的な地域の復興を図るため、高速道路の無料開放については、東北地方のみならず、本県全域も対象とすること。
◎医療関連拠点整備について
 最先端のがん,治療法であるBNCT(ホウ素中性子捕捉療法)の開発・実証については、本県におけるこれまでの臨床研究の実績や新たな研究拠点整備が進んでいる状況を踏まえ、本県で引き続き研究開発を推進すると
ともに、国際戦略総合特区の指定について配慮すること。