参考写真 厚生労働省の社会保障審議会では、政府が6月未にまとめた「社会保障・税一体改革案」に基づく具体的な検討作業がスタートしています。その作業テーブルには、今回も、民主党がマニフェスト(政権公約)で国民に約束した「年金制度の抜本改革」の姿は全く表れていません。政権交代から2年余、民主党の“有言不実行”ぶりが、ここにも表れています。「ミスター年金」ともて囃された長妻昭元厚労相は、大臣となってからは慎重な発言が多く「ミスター検討中」と揶揄する声が一斉に挙がりました。そして、大臣職を解かれた以降は「ミスった年金」とさえネット上では言われています。
 「結局、今回の社会保障・税一体改革なるものは、民主党の年金マニフェストが“絵に描いた餅”であり、実現可能性が極めて低いことを、自ら認めたということになる」。9月15日の衆院本会議。公明党の井上義久幹事長は代表質問で、民主党のマニフェストに掲げた年金一元化や最低保障年金の創設などの具体的記述が、政府がまとめた「改革案」にない点を指摘し、「いいかげんに民主党の年金抜本改革案は、実現はおろか具体的な制度設計すら困難だと認めるべきだ」と厳しく糾弾しました。
 しかし、野田佳彦首相は「(民主党が5月にまとめた政府への)提言に新制度の骨格が示されている」と話をそらし、「マニフェストでは2013年度に新制度の決定を約束している」と強弁しました。
 政府・与党は、この改革案で「新しい年金制度の創設時津元に取り組む」と意欲は示していますが、実質的な検討は“棚上げ”されています。そればかりか、当面は「改革の目指すべき方向性に沿い、現行制度の改善を図る」と述べています。
 そもそも公明党は、「2004年改革による現行制度の骨格を維持しつつ、これをベースに必要な改善を進めることが現実的対応だ」と主張し続けてきました。それを「抜本改革でなければダメ」と真っ向から反対してきたのが民主党でした。今になって「現行制度の改善」を言いだすのであれば、方針転換について釈明があってしかるべきです。
 改善の議論は、1.中立で公平な制度に、2.最低保障機能の強化、3.持続可能性の確保、が柱です。具体的には、*サラリーマンなど正社員が加入する厚生年金に、パートなど非正規労働者も加入できるようにする、*公務員の共済年金を厚生年金に一元化する、*低所得の高齢者に一定額まで年金を上乗せする、*年金受給資格期間を短縮する、など既に自公政権で議論し尽くしたものばかりです。結局、年金改革は全く手付かずで2年間も放置され、改革の議論は、政権交代前の“振り出し”に戻った形となっています。
 民主党は「年金制度の抜本改革」という政府・与党内ですら合意できない無責任な政策を、いつまで掲げるつもりか。ほころびだらけの破綻した看板政策は速やかに下ろし、国民に詫びるべきです。
公明推進の2004年・年改革は正しかった!無年金・低年金対策に取り組む
参考写真 年金改革は、政府が「現行制度の改善」という現実路線に舵を切りました。その現行制度は、公明党が主導して2004年に「持続可能な年金制度」へと改革を成し遂げたものであり、その後も、より良い制度にするため、無年金・低年金対策を軸に改善策を推進したものです。
 特に、1.国民年金保険料の未払い分をさかのぼって納められる事後納付期間を2年間から10年間に延長、2.年金受給者を増やすため、年金受給資格を得る加入期間を25年から10年に短縮、3.年金の受給額が少ない人には基礎年金を税金で25%上乗せする「加算年金制度」の創設などを提唱してきました。
 このうち、事後納付期間を2年から10年に延長する「年金確保支援法」は8月に成立。厚労省によると、これにより最大40万人が無年金にならずに済み、最大1600万人の年金受給額が増える効果があるとされたいます。
 公明党はほかにも、*育児期間中の国民年金保険料の免除、*被用者年金の一元化と厚生年金の適用拡大、*年金額と給与収入の合計が一定額を超えると年金が減額される「在職老齢年金」の見直し、などを掲げ、国会質疑などを通じて強力に推進しています。社会保障審議会・年金部会などで、受給資格期間の短縮や低所得者への加算年金など多くの提案が検討議題に上っています。公明党は今後も、現実的な改善に一歩一歩取り組んでまいります。