参考写真 10月11日、東電福島第1原発の事故から7ヶ月目の節目の日に、東海第2原発が立地する東海村の村上達也村長は、「東海2号炉を廃炉にすべき」との姿勢を、明確に政府に伝えました。
 日本原子力発電・東海第二発電所を抱える村上村長は、都内で細野原発担当相、中川文科相と相次いで会談。「東海第二原発は廃炉にすべき」などと直接提案しました。村上村長は、「東海第二発電所は、原発の立地条件として不適切。また老朽原発である。廃炉にすべきでないか」、「半径30キロ圏内に100万人が住み、避難計画策定は不能」などと主張し、東海第二発電所の廃炉を求める文書を直接手渡しました。
 原子力安全・保安院に代わる規制体制の早期確立や減原発政策の具体化も求めました。(村上村長のコメントは、読売新聞の記事を引用しました)
 東海村は、日本で最初に原子の火が点った、いわば“日本の原子力発電発祥の地”。平成21年度の村の歳入199億円の内、実に60億円が原発関連の交付金や諸税収入。下請関連企業の法人税や固定資産税、原発関連で働く住民の雇用問題など、東海第2発電所を廃止した場合の影響を懸念する声も多いことも事実です。
 13日、NHKは朝のニュースで「『廃炉』発言で地元に波紋」と報道しました。村上村長の廃炉発言について、東海村の50代の女性は「村長の考えに賛成で廃炉にすべきだと思います。いくら国が安全といっても福島のような事故が起こる危険性はあると思うので不安です」とのインタビューを紹介。また、30代の女性は「私の夫は原子力関係の仕事をしています。原子力発電所がなくなれば村は経済的にも厳しくなると思うので、廃炉には反対ですし現実的ではないと思います」との反対意見も伝えました。さらに、60代の男性の声を紹介し、「安全性の問題がある一方で村の財政的な問題もあります。原発は今、岐路に立っていますが『廃炉』と簡単に結論づけるのではなく、もっと慎重に考えていくべきではないか」と結んでいました。
 村上村長は原発事故後、フォーラムなどの場で「人に冷たく無能な国で原発を持つ資格はない」などと国の姿勢を、厳しく批判しています。「東海第2発電酒の再稼働についての住民投票」も、具体的に提案しています。
(参考:東海村と原子力の未来を考えるフォーラムでの村上村長の問題提起)
 東海第2発電所の再稼働にせよ、廃炉にせよ、現状の情報公開をまず徹底し、東海村だけにとどまらない周辺自治体住民の意見集約も不可欠です。村上村長の発言をむやみに否定することなく、未来を見据えた議論を展開したいと考えます。
 当面は、来春に予定されている東海村議選が、住民の意見を集約する一つの節目になると思われます。