参考写真 日本げんでん東海第二発電所を擁する東海村の村上達也村長は、10月11日に都内で細野原発相、中川文科相と相次いで会談し、「東海第二原発は廃炉にすべき」などと語りました。
 10月18日、井手よしひろ県議は、東海村役場に前田豊理事を訪ね、村上村長の提案内容を確認するとともに、原発問題や東海村の原子力政策について意見交換を行いました。
 前田理事は、村上村長が細野原発担当相、中川文科省に提出した文書をもとに説明。「東海第2原発は、様々な課題があり、廃炉にすべきではないか」という、村上村長の意見を披瀝し、国の考え方を明らかにするよう求めたものと説明しました。
 また、井手県議が「村の財政が原子力施設にどの程度依存しているか?」と質問したのに対して、前田理事は「2009年度の歳入約199億円のうち、原子力施設に関連する歳入は約60億円と3分の1近くを占めている。東海第二発電所だけに限れば、全体の6〜7%となっている」と答えました。
 その上で、前田理事は東海村が目指している「原子力センター構想」の推進について触れ、「国は、原発を推進する立場と規制する立場を明確に分離することをうたっているが、専門的な技術者の確保や育成が最重要の課題となる。こうした人材の養成拠点として、原子力研究開発の安全研究拠点として、重要な位置づけともなる。将来的には、J−PARCやJAEA先端基礎研究センターによる核科学研究の世界的拠点としていきたい」と語り、国や県の支援が不可欠と強調しました。
(写真は、東海村での原子力防災訓練の模様:2001/9/29)
 以下、今後の議論の参考のために、両大臣に提出した村上村長の意見書の内容をご紹介します。
原発政策(特に東海第二原発について)

東海村長 村上 達也

東海第二原発は「原発の立地条件」として不適切、また老朽原発である。廃炉にすべきではないか…避難計画の策定も不能。
  • 3km圏内に3万人、10km圏内に30万人余、20km圏内に75万人、30km圏内100万人の人口(CF.原子炉立地審査指針)
  • 東京に110kmの首都圏にある(福島第一の半分)

安全委員会、安全保安院の信用失墜は甚だしい。原子力規制体制を早期確立なしには停止原発の再稼動は受け入れられまい。
  • NRCのように独立国家機関がベスト、名称も「安全」は不可、「規制」とすべし
  • 技術専門家はじめ人材育成がカギー…JAEA安全研究センターの活用は

原発再稼動の判断基準に福島原発避難者への政府の対応状況(生活支援、健康調査)、地域社会の回復、否崩壊状況が入っている。
  • 子供の体内被曝検査の不十分さは目を覆うばかり、HBC(ホール・ボディ・カウンター)を全国はおろか全世界から。
  • 東海原発周辺住民の意識は福島県民の運命を共有している。

減原発政策は不動か。その具体的中身、基準を明らかにすべきである。
  • 「原発の新設なし」というが計画中は勿論、建設途上のものを含め具体名を挙げるべき。かつ老朽原発の廃炉基準を提示すべき。
  • 九電力による地域独占体制解体、発送電分離が不可欠、行程表を明示すべき。
  • 日本原電(株)の準国策会社化と全原発の集約を(削減と技術力の保持)。
  • 地域対策は電源交付金に代わる地域支援特措法制定を考える(CF.産炭地振興特措法)。

東海村の(仮称)「原子力センター構想」に可及的速やかな支援を。
  • 原子力研究開発の安全研究と人材養成の世界的役割を担う。
  • JPARCとJAEA先端基礎研究センターによる核科学研究の世界的拠点化を指向。
  • 宿泊施設、公共交通、外国人教育等のインフラ整備が課題。
  • 本年4月東海村では担当課を設置(まちづくり国際課)。

以 上