参考写真 10月19日、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)の交渉参加に断固反対を訴える「TPP交渉参加反対に向けた緊急集会」が、小美玉市の四季文化館「みの?れ」で開催されました。全国でも初めて、JA茨城県中央会と県医師会、農林水産16団体でつくるTPP対策県農林水産団体本部が共同で主催しました。自民・公明をはじめ民主、共産の超党派の県議会議員27名も含め、関係者約700人が集まり、TPP交渉参加反対を求める決議を採択し、政府民主党の拙速な交渉参加に強い危機感を表しました。井手よしひろ県議も公明党の県議団とともに出席しました。
 冒頭挨拶に立った県医師会の斎藤浩会長は、「TPP参加問題は、農業も医療もすべての産業で大きな問題を含んでいる。日本の文化そのものを破壊して良いのかという問題も含んでいる。十分なデスカッションをしてコンサンサスなしに、いきなり大国の流れの中に巻き込まれていいのか」とTPP反対を強調しました。
 JA県中央会の加倉井豊邦会長は、「主食のコメの生産を外国に任せることが本当に大丈夫なのか、恐ろしさを感じる。もし、ある国に主食の生産を任せたら、その国にはっきりものを言うことができるのだろうか。TPPはそのような可能性もあることをみんなに知ってもらい、学んでもらいたい。国民の力でTPPを阻止したい」と訴えました。
参考写真 引き続きJA県中央会の秋山豊専務が、「情勢報告」を行いました。その中で、秋山専務は、「そもそも昨年10月の急浮上したTPP問題は、9月に発生した尖閣諸島問題による中国の脅威に屈服し、鳩山政権以来の東アジア重視路線から対米従属路線に急激に回帰した菅政権の外交戦略に起因するもの」と分析。「10月19日、前原外相が米国戦略国際問題研究所と日本経済新聞社による日米安保改定50周年シンポジュームで講演し、『日本では、第1次産業がGDPに占める割合は1.5%、その1.5%を守るために98.5%が犠牲になっている』と発言し、自らの尖閣諸島問題での失策をTPP参加問題に切り替えた」と、民主党政権を厳しく批判しました。さらに、「アメリカは、中国、韓国、インド、東南アジア諸国の急成長により東アジアの経済圏から取り残されつつあった状況を打破するために、わずか4カ国間で進められてきたTPPを利用し、アメリカに有利な2 4分野に渡る自由化交渉を展開し、最終的にはアメリカ主導によるアジア太平洋自由貿易圏の確立を目論んでいる」と説明しました。
 最後に緊急集会では、「TPPは農業だけでなく地域医療、雇用、食品の安全など我が国の制度を一変させるもので、参加は断固として認められない」とする決議を全会一位で採択しました。
TPP(環太平洋連携協定)交渉参加反対を求める決議

 TPPは、昨年10月に政府から唐突に提起されたが、この問、国民に対する情報開示は皆無であり、国民的な論議もないまま政府が一方的に交渉に参加しようとすることは、誠に遺憾であり、我われは、将来に対する大きな不安と危倶を抱いている。
 TPPは、これまで我が国が諸外国・地域と締結してきた自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA) とは全く異なり、関税撤廃の例外措置を一切認めず、また、医療、保険、食品安全性などあらゆる分野に関する国内の仕組み・基準の変更を強制するものである。
 我われは、広く県民理解を得ながら運動を展開するため、県内農林水産業関係団体と「TPP対策茨城県農林水産団体本部」を設置し、他の団体とも連携しながら「TPP交渉参加反対茨城県20万人署名運動」を県内各所で積極的に進め、目標を大きく上回る346,397人の県民の訴えを集めることができた。
 この数は、まさに、農林水産業者に限らず、多くの県民各層がTPP交渉参加への反対を示した現われでもある。
 ついては、TPPは、我が国の食料自給率の低下と農林水産業を含む地域経済・社会の崩壊を招く恐れがあり、かつ、地域医療、保険、雇用、食品安全性など、これまでの我が国の「制度」「かたち」を一変させてしまうものであることから、政府のTPP交渉参加は断固として認められない。
以上、決議する。
平成23年10月19日
TPP交渉参加反対に向けた緊急集会