10月20日、国の原子力安全委員会の作業部会(ワーキンググループ:WG)は、原子力施設の事故に備えて防災対策を重点的に行う地域(EPZ)について、現在の原発から最大で10キロ圏内としてきた目安を、30キロ圏内まで拡大する案を呈示しました。
 それによりますと、IAEA(国際原子力機関)の緊急時の対応の基準などを踏まえ、原発事故が起きた際に、予防として直ちに避難を実施する「PAZ」という範囲を定め、その目安をおおむね5キロとするとしています。また、新たに避難などの防護対策を整備する区域として、「UPZ=緊急防護措置計画範囲」という考え方を導入し、おおむね30キロまで広げるとしています。 という考え方を導入し、おおむね30キロまで広げるとしています。さらに、甲状腺被ばくを避けるためにヨウ素剤の服用などの対策を実施する範囲として「PPZ」という新たな範囲をおおむね50キロに設定するとしています。

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 茨城県の東海第2発電所に、WGの考え方を当てはめてみると、直ちに避難を実施する「PAZ:5キロ圏内」に約6万人。防護対策を整備する「UPZ:30キロ圏内」に約94万人。ヨウ素剤の服用などを実施する「PPZ:50キロ圏内」は茨城県内22市町村、福島県3市町、栃木県22市町村にも及びます。
 特にUPZ30キロ圏内の市町村は、14市町村で全国で最も多い人口を抱えています。この圏内人口は政府が稼動を停止させた静岡県の浜岡原発の75万人余りより多くなっています。また、茨城県庁や県警本部も区域内に含まれ、人口や行政機能が集約された地域で、原発事故に備えた実効性ある防災計画がつくれるのか大きな課題となります。そもそも100万人を待避させることが現実的に可能なのか、それができないのなら、東海第2原発の“廃炉”という選択肢も現実味を帯びてきます。
参考写真

(2011/11/3更新)
 11月1日、国の原子力安全委員会の作業部会は、原発事故に備えた防災対策を重点的に実施する区域を、現行の半径8〜10キロ圏から約30キロ圏に拡大することで合意しました。
 5キロ圏は事故後直ちに避難する「予防防護措置区域(PAZ)」としました。
 また、ヨウ素剤の服用などを実施する50キロ圏はPPA(PPZから変更)とされました。