支給年齢見直しの必要なし
公明主導の2004年改革、現行制度は順調に運用
マスコミに厚生年金の支給開始年齢の68歳への引き上げ検討が報じられ、国民に戸惑いが広がっています。そこで2004年に持続可能な年金制度改革を主導した、公明党の坂口力副代表(元厚労相)のインタビューを公明新聞(2011/10/24付)より転載させていただきます。
政府内で年金の支給開始年齢を引き上げる案などが検討されているようです。
坂口副代表 「社会保障と税の一体改革」の審議会などで、一部意見が出ているのは事実です。しかし、厚生労働省がさまざまな検討項目の一つとして提案したものであり、政府の意思として提出したものではありません。
言うまでもなく、現在の年金制度の維持を前提にするのであれば、支給開始年齢を引き上げる理由はまったくないし、それでも行おうとするなら断固反対です。
「年金の100年安心」はウソだとの批判もあります。
坂口 2004年の年金改革は、5年ごとに財政状況を検証することになっています。1回目の検証が2009年に行われましたが、賃金や物価、合計特殊出生率、積立金の金利――など、総合的に検証した結果、順調に推移しているとの結論でした。
ウソだと言うのは、現在の制度を快く思っていない人や党です。
民主党の具体的な年金改革案は、いまだに示されていませんが、これまでに断片的に伝えられる案を実現しようとすれば、莫大な財源が必要ですし、仮に支給開始を68歳以上にしてもまだ財源が足りないと思われます。このため今回の動きは、民主党案を実現するための動きとも見ることができるでしょう。
第2は、消費税を引き上げる理由に年金を使いたい人たちです。しかし今後、財源を必要とするのは年金よりも医療の方です。
2004年の改革は、支給開始年齢を「65歳」からさらに引き上げなくても、揺らぐことのないように設計されています。あらためて強調しておきます。
公明主導の2004年改革、現行制度は順調に運用
マスコミに厚生年金の支給開始年齢の68歳への引き上げ検討が報じられ、国民に戸惑いが広がっています。そこで2004年に持続可能な年金制度改革を主導した、公明党の坂口力副代表(元厚労相)のインタビューを公明新聞(2011/10/24付)より転載させていただきます。
政府内で年金の支給開始年齢を引き上げる案などが検討されているようです。
坂口副代表 「社会保障と税の一体改革」の審議会などで、一部意見が出ているのは事実です。しかし、厚生労働省がさまざまな検討項目の一つとして提案したものであり、政府の意思として提出したものではありません。
言うまでもなく、現在の年金制度の維持を前提にするのであれば、支給開始年齢を引き上げる理由はまったくないし、それでも行おうとするなら断固反対です。
「年金の100年安心」はウソだとの批判もあります。
坂口 2004年の年金改革は、5年ごとに財政状況を検証することになっています。1回目の検証が2009年に行われましたが、賃金や物価、合計特殊出生率、積立金の金利――など、総合的に検証した結果、順調に推移しているとの結論でした。
ウソだと言うのは、現在の制度を快く思っていない人や党です。
民主党の具体的な年金改革案は、いまだに示されていませんが、これまでに断片的に伝えられる案を実現しようとすれば、莫大な財源が必要ですし、仮に支給開始を68歳以上にしてもまだ財源が足りないと思われます。このため今回の動きは、民主党案を実現するための動きとも見ることができるでしょう。
第2は、消費税を引き上げる理由に年金を使いたい人たちです。しかし今後、財源を必要とするのは年金よりも医療の方です。
2004年の改革は、支給開始年齢を「65歳」からさらに引き上げなくても、揺らぐことのないように設計されています。あらためて強調しておきます。
今の年金制度を破綻させない条件は。
坂口 一つは合計特殊出生率(一人の女性から生まれる平均子ども数)です。2004年改革では、これを50年までに1.39人以上に回復させるとしていましたが、昨年すでに1.39人になりました。
もう一つは、賃金が毎年1%以上に上昇することです。最近、賃金の上昇は見られませんが、一方で物価も下落しているので帳消しになっています。金利の収益もあり、十分にカバーしています。
いずれにしても、賃金の回復は政府の責任。デフレからの脱却こそ急務です。
現制度はデフレに対応できるのですか。
坂口 デフレに対応するためには、本来、物価下落に対する年金の引き下げが必要ですが、完全に行われていないのが現実です。将来、物価が上昇した時、帳尻を合わす必要があります。そのためにも今、デフレ対策を強力に進めることが重要ですが、民主党政権の対策は不十分だと言わざるを得ません。
年金積立金は枯渇の心配はないですか。
坂口 積立金は安定して運用されており、心配いりません。自主運用が始まった2001年から昨年までの10年間の収益額は、11兆4000億円、収益率は1.20%となっています。
公明党は年金制度の改善にどう取り組みますか。
坂口 制度の前に、非正規労働者もすべて厚生年金に加入できる体制を作ることが重要です。
制度としては現状の根幹を堅持しつつ、低年金所得者の額を引き上げるべきです。その財源は、消費税など税制改正で対応すべきだと考えます。
坂口 一つは合計特殊出生率(一人の女性から生まれる平均子ども数)です。2004年改革では、これを50年までに1.39人以上に回復させるとしていましたが、昨年すでに1.39人になりました。
もう一つは、賃金が毎年1%以上に上昇することです。最近、賃金の上昇は見られませんが、一方で物価も下落しているので帳消しになっています。金利の収益もあり、十分にカバーしています。
いずれにしても、賃金の回復は政府の責任。デフレからの脱却こそ急務です。
現制度はデフレに対応できるのですか。
坂口 デフレに対応するためには、本来、物価下落に対する年金の引き下げが必要ですが、完全に行われていないのが現実です。将来、物価が上昇した時、帳尻を合わす必要があります。そのためにも今、デフレ対策を強力に進めることが重要ですが、民主党政権の対策は不十分だと言わざるを得ません。
年金積立金は枯渇の心配はないですか。
坂口 積立金は安定して運用されており、心配いりません。自主運用が始まった2001年から昨年までの10年間の収益額は、11兆4000億円、収益率は1.20%となっています。
公明党は年金制度の改善にどう取り組みますか。
坂口 制度の前に、非正規労働者もすべて厚生年金に加入できる体制を作ることが重要です。
制度としては現状の根幹を堅持しつつ、低年金所得者の額を引き上げるべきです。その財源は、消費税など税制改正で対応すべきだと考えます。