参考写真 震災対策の第3次補正予算が衆議院を通過しました。その裏に隠れて、来年度の予算編成の全体像が未だに見えてきません。
 政権交代めの自公政権当時、安心社会を構築するため、医療や介護の充実、子育て支援の強化などに対する各種基金制度が設けられ、地方自治体における迅速かつ柔軟な取り組みに対して支援が行なわれてきました。しかし、こうした基金事業の多くが、今23年度限りで終了します。
 特に、下記に掲げる基金については、多くの関係者から事業継続を求める声が上がっており、国民生活の安心と向上を図る上からも、こうした基金および基金事業を継続することが必要です。
子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進臨時特例基金
 地方自治体における子宮頸がん予防ワクチン、Hibワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンの接種事業を財政支援する基金です。ワクチン接種について予防接種法の対象疾病に位置付ける法改正が実現するまで継続すべきです。
安心子ども基金、および妊婦健康診査支援基金
 保育所や放課後児童クラブなどの整備を後押しする安心子ども基金、および妊婦健診の負担軽減を図る妊婦健診支援基金について政府は、新たに創設する子ども・子育て新システムの中で対応するとしていますが、具体的な中身が明らかになっておらず、当面は基金事業による対応が現実的です。
介護職員処遇改善等臨時特例基金
 介護職員の賃金引き上げなどを行うための基金として創設し、今年度末まで予算措置されているが、来年度以降の対応は、引き続き基金事業によるのか介護報酬によるのか、方向性がまだ見えていません。
 介護職員の処遇改善は極めて重要な課題であり、介護報酬で手当できない場合は、既存の基金を積み増しし、着実に賃金引上げなどに充てられるよう措置すべきです。
障害者自立支援対策臨時特例基金
 障害者自立支援法の施行に伴う事業者の経過的な支援を行なうため、平成18年度から20年度までの特別対策として実施し、その後、既存事業の拡充や新たな事業を盛り込み、今年度末まで延長されています。来年度以降も、新体系移行後の事業所支援やグループホーム等の設置補助などが必要であり、基金継続によって柔軟な支援をすべきです。
地域自殺者対策緊急強化基金
 地域における自殺対策の強化を図るための基金として、電話相談窓口の充実など地方自治体における具体的な取り組みに活用されており、こうした取り組みを切れ目なく支援するため、継続かつ基金の積み増しが必要です。