毎時0.23μSv以上を市町村の申請により「汚染状況重点調査地域」に指定
年間1mSvを超えるとみられる地域マップ 11月11日、政府は、放射性物質を取り除く「除染」について、年間の被ばく線量が1ミリシーベルト以上の地域で実施すること等を、国の基本方針として閣議決定しました。
 除染や放射性物質が付着したがれきの処理を国の責任で行うための法律(放射性物質の汚染対策に関する特別措置法)がことし8月に成立。これを受けて、環境省が基本方針案をまとめていました。
 基本方針では、年間の被ばく線量が20ミリシーベルト未満の所については、2年後までに住宅街などでは被ばく線量をおおむね半減させることや、学校や公園など子どもが生活する場所ではおよそ60%減らすことを目指しています。
 また、除染を行う場所は、年間の被ばく線量が1ミリシーベルト以上の地域を「汚染状況重点調査地域」に指定するとしたうえで、放射線量が高い福島県の警戒区域や計画的避難区域は国が直接除染を行い、そのほかの地域は市町村が計画を立てて実施し、費用は国が負担するとしています。
 年間被ばく被曝線量1ミリシーベルトは、1時間当たりの線量に換算すると0.23マイクロシーベルトとなります。(1ミリシーベルト=1000マイクロシーベルト。1000÷365日÷24時間=0.19マイクロシーベルト。これに原発事故前の平均的な放射線量である毎時0.04マイクロシーベルトを足して、毎時0.23マイクロシーベルトを算出しました)
茨城県内では10自治体が「汚染状況重点調査地域」を要望
 茨城県内では、こうした国の基本方針決定を受けて、これまでに10の市町村が財政負担の対象となる地域「汚染状況重点調査地域」に指定するよう、国に求める方針です。この「汚染状況重点調査地域」に指定されると、除染を行う場合の費用を国が負担をすることになります。
 すでに、県内では環境省が2回にわたり、市町村への説明会を開いています。環境省は、文部科学省や自治体独自のモニタリング調査で、年間の被ばく線量が1ミリシーベルト以上の地域が含まれる自治体に対して、「汚染状況重点調査地域」指定を要望するかどうかを、11月16日までに回答するよう求めています。
 県内44市町村の内24市町村に、年間被ばく線量が1ミリシーベルト以上の地域が存在します。現在の所、10の市町村が「汚染状況重点調査地域」への指定を要請する方針です。(NHKの各自治体へのアンケート調査結果)
 残り14自治体は、年間1ミリシーベルト以上の地域がありながら「要請するかどうか検討中」あるいは「指定を求めない」としています。
 「汚染状況重点調査地域」に指定されると、その自治体全域が汚染地帯のように見なされ、観光や農作物の販売にデメリットが多いと判断している市町村も少なからずあります。こうした自治体では、自費での除染活動を行うことにしています。かかった費用は、原則東京電力に損害賠償を請求することになる見込みです。
 また、1ミリシーベルト以下の地域でも、独自の基準を設けて除染を行う市町村もあり、住民の不安解消を第一に考えた対応が強く求められています。