11月24日、公明党女性防災会議の松あきら議長(副代表)らは、首相官邸で藤村修官房長官に対して、野田佳彦首相宛ての「女性の視点を生かした災害対策についての第1次提言」を手渡しました。
 席上、松議長らは、「女性の視点は生活者の視点だ」と強調し、公明党女性防災会議として、被災3県を除く全国の女性議員が連携し「女性の視点からの防災行政総点検」を行ったことを説明しました。
 その上で、回答のあった自治体の44%で地方防災会議に女性委員がいないことに触れて、「改めて地方自治体の現状や課題が浮き彫りとなった」と指摘しました。
 具体策として、(1)国の中央防災会議における3割以上の女性委員の登用と、地方防災会議で女性委員を登用しやすくするための災害対策基本法の改正、(2)女性の視点からの防災対策マニュアル(手引)の策定と周知徹底、(3)物資の備蓄を女性や高齢者の視点から見直し、自治体への予算措置を行うこと―などの11項目の具体的な提案を行いました。
 これに対して藤村官房長官は「公明党からは、いつも良い提言をもらい感謝している」と述べた上で「(要請に)応えられるように取り組む」と回答しました。
 提言ではこのほか、災害時要援護者ガイドライン(指針)の見直しや、防災訓練に女性や高齢者、障がい者の参加を促す仕組みの導入を提案。また、家具転倒防止など身近な対策の啓発や、小中学校に専門知識を持つ職員を配置すること、学校の防災機能向上に向けた補助制度の拡充、災害時に女性が力を発揮しやすい仕組みの導入なども訴えています。さらに、防災基本計画に被災者台帳システムの構築を明記することなどを求めています。
女性の視点を生かした防災対策についての第一次提言
  1. 日頃から女性の意見を防災対策に反映させるため、国の中央防災会議に少なくとも3割以上の女性委員を登用すること。地方防災会議においては、女性委員を登用しやすくするため、災害対策基本法の改正を速やかに行うこと。

  2. 地方自治体において女性や高齢者、障がい者等の視点を反映した防災対策が進むよう、国において速やかに「女性の視点からの防災対策」マニュアル等を策定し、周知徹底を図ること。

  3. 緊急物資の備蓄等のあり方を女性、高齢者、障がい者等の視点から見直し、地方自治体における緊急備蓄整備に対する予算措置を講ずること。

  4. 災害時要援護者ガイドラインについては、要援護者の対象、要援護者情報の共有・管理、避難支援計画のあり方等速やかに見直すこと。

  5. 防災訓練に、女性、高齢者、障がい者等の参加を積極的に促す仕組みを取り入れること。

  6. 家具の転倒防止等身近な防災対策や災害時に役立つ様々な取組等広報啓発に努めること。

  7. 学校を拠点とした災害に強い地域づくりを進めるため、各小中学校に防災の専門知識をもつ職員を配置し、地域住民と連携した防災教育を強力に推進すること。

  8. トイレや備蓄倉庫、貯留施設、空調設備等学校施設の防災機能向上に資する補助制度を拡充するとともに、地方自治体の要望に十分応えられる予算を確保すること。

  9. 女性、子ども、高齢者、障がい者等が災害時の担い手として活躍できる仕組みを防災対策に取り入れること。

  10. 災害発生後に女性や子どもへの暴力が増加したという指摘があることを踏まえ、平常時から暴力防止の啓発に努めるとともに、災害が発生した場合、相談窓口を設置し、きめ細やかな被害者支援策を講じること。

  11. 防災基本計画に平常時からの被災者台帳システム構築を明記し、地方自治体における円滑な被災者支援システム構築を促すとともに、災害時に必要なサービスをクラウドで無償提供する仕組みを整備すること。