参考写真 12月19日、東海村原子力安全対策懇談会は、東海第二原発の安全対策などについて検討してきた内容を、東海第2発電所の安全対策と村民への情報提供の2つの観点から、村上達也村長に答申しました。
 原子力の専門家や主婦などからなる懇談会は、村上村長からの諮問を受けて、今年5月から検討を開始。東海第2発電所の安全対策には9項目、村民への情報提供には3項目を村上村長に答申しました。
 それによりますと安全対策として、非常用発電機の長時間の運転を可能にすることや、非常事態に対応できる訓練を継続的に行うことなどが必要だとしています。さらに東海第二原発の今後のあり方について村が方針を決める際には村民とのコミュニケーションを重ねて村民の意思を十分反映させることや、村民が原子力の知識を深められるよう原子力相談員制度を創設することなどが盛り込まれました。
 答申を受けた村上村長は「原発の運転再開という大きな結論を出す際には、答申にある通り住民の意見をよく聞いて判断することになる」と述べました。
東海第2発電所の安全対策に関する答申
  1. 東海第二発電所でいかなる異常事態が発生した場合でも、原子炉を止める、冷やす、閉じ込める機能、ならびに使用済み燃料プールの冷却機能確保に万全を期すこと。

  2. 発電所の制御機能確保に必須の電源系に関しては、外部電源系開閉所の耐震強化、非常用電源の多様性と独立性の確保、中長期的な対応としての開閉所の高台への移設や変圧器周辺防護壁設置などが検討されているが、それらとともに新たに検討中の系統電源の引き込みを早急に実施すること。さらに、非常用発電機については燃料供給など長時間運転が可能なようにすること。

  3. 原子炉建屋の水素ガス爆発を防止するための原子炉建屋屋上への排気弁、建屋過圧防止用ブローアウトパネル(破裂板式安全装置)の開放装置を早急に設置すること。

  4. 環境汚染防止などのためフィルタードベント(放射性物質ろ過式放出装置)や水素爆発紡止のための静的触媒再結合装置等を広く調査し、導入すること。

  5. 政府の地震調査研究推進本部は、平成23年11月24日、近い将来房総沖と茨城沖大地震発生の可能性があると発表した。このような地震動と津波に加え、同時に台風が到来するような過酷条件に対する対応も準備すること。また、検討中の防潮堤を早急に実現すること。

  6. 大地震、大津波が発生した場合、発電所の一時避難活動拠点においても、全体の状況把握と事故対応が確実にできる環境整備と実務要員を確保すること。

  7. 今回の事故を反映した過酷事故対応用のマニュアルを見直すとともに、非常時には、指示・指揮命令系統が混乱することも想定されるのでこのような場合でも事故対応に問題を生じさせないシステムを確立すること。

  8. 緊急事態対応を効果あるものとするため、非常時模擬運転訓練用シミュレータなどを用いた、継続的な訓練を実施するとともに、予期しない異常事態への応用が可能なようにしておくこと。訓練の様子は適宜住民に公開すること。

  9. 日常の軽微なトラブルが大事故につながらないように、PDCA(計画・実行・検証・改善)を社内全員で自主的に継続して実践すること。

村民への情報提供に関する答申
  1. 国・県・村が日本原子力発電(株)に求め実施された安全強化策を村民に説明すること。

  2. 東海第二発電所の今後について、東海村が方針を決定する際は、村民との多様なコミュニケーションを重ね、村氏の意思を広く反映した内容とすること。

  3. 地域防災計画の改定に際しては、今回の住民の被災経験を集約し減災に活かすこと。

  4. 村民の原子力に対する知識を深めるため、原子力相談員制度を創設すること。

参考: 「日本原子力発電(株)東海第二発電所の安全対策について」の答申書(PDF3.2MB)