事業者向け料金、来年4月値上げ=一般家庭用も早期に申請へ−東電
時事通信(2011/12/22)
参考写真東京電力は22日、事業者向け電気料金を来年4月から引き上げると発表した。値上げ幅は2割程度を検討している。一般家庭向けの値上げも、来年2月に予定する政府の電気料金制度の運用に関する有識者会議の結論などを踏まえ、できるだけ早期に申請することを明らかにした。実現すれば東電の料金値上げは1980年以来32年ぶり。
東電の収益構造は福島第1原発事故後、各地の原発の相次ぐ停止により、代替する火力発電の燃料費が増加し、大幅に悪化。記者会見した西沢俊夫社長は、「現在の料金は燃料費の大幅な増加に対応していない。遠からず経営が成り立たなくなり、電気の安定供給にも影響を及ぼしかねない」と強調した。(以下略)

 そもそも、東京電力などの電気事業者はどのように電気料金を決めているのでしょうか。電気料金の計算のもとになる電気の原価(コスト)は、電気事業法に基づき、「総括原価方式」という方法で計算されています。この総括原価方式では、発電・送電・電力販売にかかわるすべての費用を「総括原価」としてコストに反映させ、さらにその上に一定の報酬率(原価の4.4%)を上乗せした金額が、電気の販売収入と等しくなるように電気料金を決めるやりかたです。
 
 つまり、電力事業者は、会社を経営するすべての費用をコストに転嫁することができる上に、一定の利益率まで保証されているということになります。絶対に赤字にならないシステムが出来上がっています。
 その上、費用に何を計上するかは電力会社の判断に任されています。官庁OBを受け入れている財団法人への拠出金や広告宣伝費、社員の保養所や接待施設の維持管理費、年8.5%もの利子が付く財形貯蓄などさまざまな社員優遇に必要な費用が原価に算入されています。
 今回の原発事故で生じた原価の高騰を、そのまま総括原価方式に基づいて、電気料に転嫁するやり方は絶対に容認できません。
 原発事故に対する損害賠償のために実質的に国有化される東京電力。この、総括原価方式と言われる電気料金の決定法を見直す必要があります。