参考写真 12月24日、平成24年度の当初予算が閣議決定されました。一般会計総額は90兆3339億円で、「国の借金」である新規国債発行が3年連続で税収を上回るという異常事態となりました。
 日本は現在、東日本大震災からの復興やデフレ経済からの脱却などの大きな課題に直面しています。しかし、来年度予算案からは景気回復や経済再生に向けた成長戦略など、国民に対する民主党政権のメッセージが全く伝わってきません。
 確かに財政健全化は急ぐべき課題であり、44兆2440億円の新規国債発行額は、約44兆円以下に抑えるという政府の財政健全化目標を表面上は維持したかに見えます。しかし、その実態は基礎年金国庫負担を2分の1にするための財源を一般会計に計上せずに「交付国債」で賄うものであり、断じて看過できません。
 その上、交付国債の償還財源は将来の消費税増収分を見込んでおり、政府・与党の消費税を含む税制の抜本改革の見通しも、その目的である社会保障改革の全体像も示せない中で予算計上すること自体、大問題です。
 公明党の石井啓一政務調査会長が「粉飾的な手法であり“財政健全化取り繕い予算”と言わざるを得ない」 と厳しく指摘したのも当然のことです。マスコミ各紙も「事実上の『隠れ借金』」(読売新聞12月25日付)、 「借金を別ポケットに移すトリック」(毎日新聞12月25日付け)などと一斉に批判しています。
 そもそも、何の議論も行われていない、消費税を財源とする借金というのは国民に対するアリバイづくりであり、詐欺的行為といっても過言ではありません。
 一方、マニフェスト崩壊予算ぶりも、目に余るものがあります。予算案から民主党の主要政策のほとんどが見直し・破棄され たことが明らかになりました。
 例えば民主党は、マニフェストに「八ッ場ダム」建設中止を明記しましたが、建設継続が決まり、今回予算計上されました。
 この八ッ場ダムの建設再開決定に関して「党側は反対だが、政府の判断に委ねる」とした対応は、政権与党にあるまじき無責任さを露呈しています。 こうした政権担当能力の欠如や党内バラバラの実態が、不支持率が支持率を上回る野田政権の「急落」となって国民の不信感を強めていることを改めて指摘します。
 さらに「子ども手当」や「高速道路無料化」などの看板政策が軒並み見直しや破棄に追い込まれた事実に対しても、国民になんの説明もありません。
 増税ありきの嘘とごまかしの新年度予算。次期通常国会で公明党は、こうした予算案の問題点を明らかにしつつ、民主党政権と厳しく対峙する堂々の論戦を挑む覚悟です。