参考写真 1月16日、民主党大会が開かれ、挨拶に立った野田佳彦首相は、消費税率の引き上げを含む社会保障・税一体改革などの重要政策を「やり切ることなくして日本の将来はない」と表明しました。 解散総選挙を求めている野党に対しても「やるべきことはやって、やり抜いて民意を問うことをはっきり宣言したい」と語り、民主党大会はあたかも消費税引き上げ大会の様相を呈していました。
 首相はまた、今月24日召集の通常国会で、野党に一体改革などの協議に応じるよう重ねて求めた上で「どうしても理解してもらえない場合は、法案を参院へ送って、野党にもう一度、この法案を潰したらどうなるかをよく考えてもらう手法も、時には採用していこう」と述べ、与野党協議を自ら否定し、強行採決の可能性にも言及しました。
 こうした野党への恫喝が、どのような意味を持つのか全く理解できません。消費税増税法案を衆議院で強行すれば、当然、参議院での審議はストップし消費税法案は廃案となります。この時点で、野田首相は、小泉郵政改革選挙のような挙に打って出ようとしているのでしょうか?
 さらに言えば、こうした消費税増税へ強行措置が前提であれば、野党は平成24年度予算も簡単には通さないでしょう。今日の党大会で野田政権は、戦略無き増税暴走路線のスタートを切ったと言っても良いのではないでしょうか。
 1月24日から始まる通常国会では、社会保障と税の一体改革の取り扱いが焦点になります。
 政府・民主党が決定した社会保障と税の一体改革の素案には、消費税を段階的に10%に引き上げることは明記されました。しかし、年金抜本改革の法案は2012年の通常国会には提出せず、13年に国会提出するとしています。
 仮に、民主党が掲げる全額税による最低保障年金を実現するならば、巨額な税財源が必要になります。13年に法案を提出するなら、素案で示した消費税率に加え、さらなる消費増税が必要になるの自明の理です。
 公明党が協議の前提となる年金の抜本改革を含めた社会保障の全体像を示すよう重ねて政府・与党に求めているのは、年金を含めた社会保障改革の全体像が示されなければ、消費税引き上げの議論は、何に意味もなくなってしまいます。
 既に公明党は2010年12月に「新しい福祉社会ビジョン」(中間とりまとめ)を発表し、協議の準備を整えています。野党が、明確な社会保障ビジョンを示せて、与党が示せないということは、全くのナンセンスです。
 また、年金の抜本改革とともに、ムダ削減も重要な問題です。それをせずして増税議論を進めることは、国民の理解を得られません。
 公明党は、増税の前に「身を切る改革」が必要として、国家公務員給与の削減と同時に国会議員の歳費削減を実現するよう強く訴えています。また、議員定数の削減は「選挙制度の抜本改革の中で実現するのが本来の道」です。
(野田首相の写真は、民主党のホームページより転載させていただきました)
山口代表 法案けん制は穏当でない
NHKニュース(2012/1/16 21時46分)
 公明党の山口代表は、記者団に対し、野田総理大臣が消費税率の引き上げに必要な法案の取り扱いで与野党協議に応じないとしている自民党や公明党などをけん制したことについて「法案が通らなかった先のことまで言及するのは、穏当でない」と批判しました。
 この中で山口代表は、消費税率の引き上げに必要な法案の取り扱いで、野田総理大臣が「参議院に法案を送って、野党に『この法案をつぶしたらどうなるのか』と考えてもらう手法も採用したい」と述べたことについて、「野党をけん制することに気を遣うのではなく、もともとの政策との一貫性が取れるのかに、心を砕いてもらいたい。与野党協議を呼びかけているやさきに法案が通らなかった先のことまで言及するのは、いささか穏当でない」と批判しました。また、岡田副総理兼社会保障と税の一体改革担当大臣が、消費税率の引き上げの前に、国会議員の歳費の削減を検討すべきだという考えを示したことについても「政党間で協議して合意を作るべきで、行政府の立場である岡田副総理が削減幅まで言及するのは、いささか行き過ぎだ」と批判しました。さらに、山口氏は、沖縄のアメリカ軍普天間基地の移設問題を巡る田中防衛大臣の発言について、「着工の時期まで言及するのは、沖縄県民の気持ちを逆なでするもので、県民の理解をいただくことに全力を挙げるべきだ」と述べました。