参考写真 1月30日、31日の2日間にわたり井手よしひろ県議は、「全国防災ボランティア議員連盟」(ボラ議連)の視察・研修会に参加し、東日本大震災と原発事故に関する福島県内の市町村の対応や国の原子力防災体制の見直しなどについて調査しました。
 ボラ議連は、地震や津波、台風や集中豪雨などの自然災害に対して、災害ボランティア活動を経験した議員が、被災現場の実情や復旧・復興活動、関連法や支援策、災害時の議会の在り方などの調査・研究・情報交換などを行い、法的な整備も含めた政策提言を行うネットワークを構築するために、2009年10月に設立された超党派の議員連盟です。
川内村遠藤村長から聴き取り調査
 初日は、福島県郡山市に集合し、市内のビッグパレットに隣接して建てられた仮設住宅と、川内村の災害対策本部を視察。川内村の遠藤雄幸(ゆうこう)村長から、31日に発表する“帰村宣言”や原発事故直後の村民避難の状況などについて約1時間にわたり直接お話を伺いました。
 その後、二本松市に移動。NPO法人TEAM二本松が運営する「市民放射能測定室」を視察しました。TEAM二本松は、シンチュレーション方式のベクレル分析装置を購入し、市民からの食品や水などの放射線量の測定を独自に行っています。粉ミルクへのセシウム混入を見つけたのは、このNPOのチームでした。
 TEAM二本松の視察を終え、岳温泉のホテルで研修会を行いました。内容は、1.基調講演「東日本大震災〜福島の戦い〜」(福島県災害対策本部事務局・古市正二次長)、2.「今後の原子力防災計画の方向性」(経済産業省原子力安全・保安院原子力防災課:松岡建志課長、3.「SPEADIの運用と今後」(文部科学省科学技術・学術政策局原子力安全課防災環境対策室:田村厚雄室長)の3つの講演と質疑応答を行いました。いずれも、福島原発事故の国の危機管理の失敗に基づいて、今後の対応を考える上では貴重な話しでした。
 研修の第2段は、夕食を挟んでボラ議連のメンバーによる様々な現場活動の報告が行われました。坂本栄司(福島県議会議員)、吉田公男議連理事(ハートネットふくしま理事長)、川上哲也議連理事(Vネットぎふ理事長)、東角操議連顧問(ふくい災害ボランティアネット理事長)など、現場で培った貴重な体験をもとに、災害ボランティアのあり方などを再確認させられる有意義な交流の場となりました。
除染の実証事件が進む楢葉町を現地調査
参考写真 翌31日は、東京電力福島第1発電所から20キロ圏内の楢葉町役場をはじめ町内の現状を視察しました。福島第1原発から半径20キロ圏内は警戒区域に指定され、一般住民の出入りが厳しく制限されています。
 この地域では、学校や町村役場などの公共施設、民家などの本格的な除染が、今年3月末をめどに始めることになっています。すでに、楢葉町の役場は昨年末に除染が完了し、手持ちの線量計で計測したところ、0.31〜0.35μSv/h程度の線量となっていました。視察の行程は、Jビレッジを出発し、楢葉町役場、総合運動野球場、天神崎スポーツ公園、上繁岡大堤の除染実証実験地などを1時間余りで回りました。放射線量も高いところでも0.5μSv/h程度であり、車上から一見る限りでは、ほとんど通常と変わらない風景ですが。少し目をこらすと、庭には雑草が生い茂り、津波が押し寄せた場所はがれきが積み重ねられたまま放置されています。町の担当者の説明では、外側から見て大丈夫でも、中に入ってみると雨漏りがして、キノコが生えた家屋もあるということでした。
 楢葉町町内の現地調査の後、Jビレッジ内を視察。東京電力の現場責任者より、Jビレッジの役割などの説明を聴取しました。1月末現在、1日3000人の作業員が、この施設を拠点として、福島第1原発、福島第2原発の復旧作業に従事しているとの説明を受けました。