不誠実な民主党の年金案、事前協議に値せず
2月10日、民主党は年金制度の抜本改革に関連し、最低保障年金などを導入した場合に必要な財源の試算について、昨年3月に党内で示された案を公表しました。
この試算は、民主党内で幹部などにより示されていたもので、最低保障年金を導入した場合、野田政権が目指す2015年までの消費税率10%への引き上げとは別に、2075年度に消費税率で最大7%程度の財源が新たに必要になるという試算が含まれています。
民主党は10日午後、党の「社会保障と税の一体改革調査会」の総会を開き、議員らにこの試算を公表したうえで、その位置づけについて「政策検討用の参考資料であり、民主党として決定したものではない」などと説明したと伝えられています。
こうした民主党の対応について、公明党の山口那津男代表は同じく10日、次のような見解を表明しました。
2月10日、民主党は年金制度の抜本改革に関連し、最低保障年金などを導入した場合に必要な財源の試算について、昨年3月に党内で示された案を公表しました。
この試算は、民主党内で幹部などにより示されていたもので、最低保障年金を導入した場合、野田政権が目指す2015年までの消費税率10%への引き上げとは別に、2075年度に消費税率で最大7%程度の財源が新たに必要になるという試算が含まれています。
民主党は10日午後、党の「社会保障と税の一体改革調査会」の総会を開き、議員らにこの試算を公表したうえで、その位置づけについて「政策検討用の参考資料であり、民主党として決定したものではない」などと説明したと伝えられています。
こうした民主党の対応について、公明党の山口那津男代表は同じく10日、次のような見解を表明しました。
- 公表された試算が、民主党の決定ではない、単なる参考資料というのでは、民主党政権と共に協議することはできない。民主党は長い間、現行の年金制度は破綻していると言って、抜本改革案を主張してきた。それが現行制度と比べてどういう具体的な制度設計で、実現が可能なのかを示すことが大事だ。
- そういう点から、社会保障の全体像を示し、協議できる環境を整えるべきだと申し上げてきた。国民の聞きたいことに答えないのでは議論は進まない。協議の環境を整えることを妨げるのではなくて、進めるようにきちんと政権として責任を果たしてもらいたい。
民主の年金試算 非現実案は即刻撤回せよ
産経新聞[主張](2012/2/11)
すべての人に7万円以上を保障する「最低保障年金」を実現するには、政府が現在考えている5%の引き上げとは別に、最大7.1%もの消費税増税が必要となる。
民主党が公表した財政試算を見る限り、同党の新年金制度案は実現性を大きく欠いていると言わざるを得ない。野田佳彦政権は即刻、政権公約から取り下げて、現行制度の手直しという現実的な選択に舵(かじ)を切るべきだ。
民主党の年金改革案は、国民、厚生、共済の各年金を一元化し、消費税を財源とする最低保障年金を創設しようというものだ。
試算では、所得の少ない人には有利だが、現行制度より支給額が減る人が多数に上ることも判明した。民主党は試算を「参考資料」と曖昧に位置付けし、改めて出し直す考えのようだが、内容が大きく変わることはないだろう。
日本の少子高齢化はこれからが本番だ。医療や介護の費用も膨らむ。今後は税収の落ち込みも懸念されており、年金だけに巨費を投じる余裕はない。そもそも、制度の支え手が減っていくのに、年金の最低水準を一律に引き上げようということに無理がある。
やはり年金の定額部分について保険料と税金を財源とする「社会保険方式」を維持し、現行制度を手直ししていくことこそが現実に即した政策判断だといえよう。
財源問題もさることながら、民主党の年金案には制度としての疑問がある。保険料納付額にかかわらず老後に最低7万円もらえるというのは、「社会主義的」政策ではないか。これでは、保険料を払おうと思わない人が出てくるばかりか、まじめに働く意欲をなくす人が現れるかもしれない。生活保護との区分もはっきりしない。
公的年金は老後の所得保障の主柱ではあるが、生活のすべてを保障するものではない。社会の基本は「自助自立」である。社会弱者への支援は大切だが、国民一人一人が老後の備えに努めることが大原則である。
新年金への移行に40年もかかるというが、問われているのは急速に進みつつある高齢化にどう対応するかだ。デフレ下での年金減額や支給開始年齢の引き上げなど現行制度の見直しを急ぐべきだ。
民主党の年金改革案は政権交代の原動力ともなったが、いつまでも有権者に幻想を振りまき続けることは許されない。