速やかに撤回・謝罪せよ、最低保障7万円は非現実的
 2月10日、「全ての年金を一元化し月額7万円の最低保障年金を創設する」と豪語してきた民主党は、その財源について1年間“隠蔽”してきた試算を、迷走の末、ようやく公表しました。見えてきた民主党の新年金案は「大幅増税・給付減」の非現実的な内容であり“まやかし”そのものです。
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消費増税で将来17%に
 民主党は、2015年度に消費税率を10%に引き上げ、2016年度から新しい年金制度への移行を始める方針です。公表した試算では最低保障年金の支給範囲で4つの案を示しています。
 このうち、民主党のマニフェストに合致する案は(4)案だけで、生涯の平均年収260万円以下の人には最低保障年金を満額支給し、それ以上の人には徐々に減額して690万円で打ち切る案ですが、420万円前後を超える人は皆、現行制度よりも支給額が減ります。
 しかも、この(4)案を実現するには、「2015年度に消費税率10%」をめざしている社会保障と税の一体改革とは別に、将来、最大で7.1%分のさらなる増税が必要になります。その結果、消費税率は17.1%にも膨れ上がってしまいます。
 民主党は、公表した試算について、あまりにも莫大な財源が必要になるため、「あくまで政策検討用の参考資料だ」と“逃げ腰”です。公明党の山口那津男代表は、「単なる参考資料というのでは、民主党政権と共に協議することはできない」と述べています。
多くの人が給付「減額」
 民主党案では、全国民に大幅増税を課した上で、現行の基礎年金がなくなり、中堅所得層以上は最低保障年金の上乗せもなくなってしまいます。
 試算のうち、支給を絞った(1)〜(3)案でもそれぞれ増税となる上、年収が高いほど減額されて、(3)案=690万円、(2)案=520万円、(1)案=380万円でそれぞれ最低保障年金の支給が停止される“ダブルパンチ”です。生涯平均年収で少しでも収入があれば減額されるこれらの案は、「一定収入以下の人全員に7万円を支給する」とした民主党マニフェストの案とは明らかに違うものです。
 さらに、民主党が掲げる「全ての年金制度の一元化」も問題です。会社員は年金保険料の半分を企業が負担しますが、自営業者は自ら全額負担することになり保険料を会社員の“倍額”払わなくてはなりません。つまり、「同じ所得なら、負担も給付も同じ」という公約も“実現不可能”です。
移行に40年、無年金救えず
 民主党は2009年の衆院選で、「全員に月額7万円の最低保障年金を実現」をキャッチフレーズに支持を拡大し、政権交代すれば、すぐに月額7万円が給付されるようなイメージを国民に植え付けてきました。
 しかし、民主党案では、満額支給を受けられる時期は、新しい年金制度がスタートしてから40年も先のことなのです。これは、制度改革に移行期間が必要なためですが、この間、これまで未納だった期間分は年金の受給資格がないため、現在、無年金や低年金で困っている方の救済には全く役に立ちません。
 民主党は、同党の新年金案の非現実性を認め、速やかに撤回して国民に謝罪すべきです。
公明は「現行制度を改善」、基礎年金「25%加算」など推進
 2004年の年金制度改革で、現行制度は持続可能な仕組みになっています。そこで公明党は、現行制度の骨格は維持しつつ、残された課題に対応していくことで制度の信頼性と安定性を確保していく考えです。
 公明党は、今日的な課題である無年金・低年金対策については、基礎年金を25%上乗せする年金加算制度の創設や、受給資格期間の短縮で対応します。
 また、制度の安定性や公平性の確保、官民格差の是正のため、「厚生・共済」両年金の一元化を進めるほか、パート労働者への厚生年金の適用範囲も拡大し、現行制度を強化します。