参考写真 2月17日、民主、自民、公明3党の政調会長は、国会内で会談し、国家公務員の給与削減について合意しました。平均0.23%の引き下げを求めた今年度人事院勧告(人勧)を2011年4月にさかのぼって実施した上で、2012年度から2年間は人勧を含め平均7.8%引き下げるという内容です。削減によって生じる年間約2900億円は東日本大震災の復興財源に充てることになっています。
 政府は昨年、2013年度末まで国家公務員給与を7.8%削減する給与臨時特例法案を国会に提出し、人勧を実施しない方針を閣議決定していました。
 これに対し公明党は昨年末、人勧見送りは憲法違反の可能性があるとして、自民党と共同で、人勧を実施した上で臨時的に給与を削減する対案を提出していました。(人事院勧告を完全実施すると、削減期間を過ぎた場合に、人事院勧告分は引き下げられた給与水準に戻るということです)
 今回の合意は自公案を政府・民主党が、丸呑みして受け入れたものです。
 自衛官などの給与削減は、東日本大震災の救援活動などでの貢献が大きいことを考慮し、一定期間、削減を猶予する方針です。
 また、地方公務員の給与削減については、国家公務員給与削減の趣旨を踏まえ、各地方公共団体での対応の在り方について、「国会審議を通じて合意を得る」としています。
 民主党が特例法案とセットで成立を求めていた、国家公務員に労働基本権の一部を付与する「公務員制度改革関連4法案」については、早期の審議入りをめざし、3党の国会対策委員長間で協議することとしました。
 会談後、公明党の石井啓一政調会長は「公明党としても、月内に(給与削減法案が)成立できるように全力を挙げて取り組んでいきたい」と語りました。
昨年5月に7.8%削減の考え方は決まっていたはず!
 国家公務員の給与削減につていての結論が、これだけ議論がまとまらなかった背景は、偏に政府・民主党のリーダシップの欠如があります。最大の支持団体である連合の強い反対を押し切ることが出来なかったからです。
 連合は、給与削減の見返りに、公務員の労働基本権拡充を求めました。この連合の姿勢は、震災復興時の混乱に乗じて審議を行うような内容ではないと考えます。時と場所を変えて、国会で審議すべき内容です。
 また、地方公務員の給与の扱いも大きな課題として残っています。特に、茨城県のように被災県であり、公務員自体に大きな負担が掛かり、被災者でもある場合が多く、その扱いは「国会での審議の中で合意を得る」という玉虫色になっています。その扱いは、非常に難しいものがあります。
 民主党の決断が、以下の迷走したか、毎日新聞(2012/2/18付け)の記事からその経緯を引用します。
◆国家公務員給与の削減を巡る経緯◆
2011年3月11日東日本大震災発生
5月13日復興財源捻出のための給与10%削減案を政府が提示。労組と協議入り
5月23日連合系労組と平均7.8%引き下げで合意
6月 3日給与引き下げのための臨時特例法案と、労働基本権拡充などの関連法案を閣議決定
9月30日人事院が11年度給与の0.23%引き下げを政府に勧告
10月25日政府の給与関係閣僚会議で人勧実施見送りを決定
12月 7日自民、公明両党が、人勧を実施した上で引き下げ幅を7.8%とする法案を衆院に提出
2012年1月25日民主党が自公両党との実務者協議で、人勧を実施して削減幅を拡大する修正案を提示
2月 9日3党実務者協議を打ち切り、政調会長レベルに格上げ
2月17日3党政調会長会談。民主党が自公案をほぼ丸のみし決着

参考:国家公務員給与等の取り扱いについて(3党政調会長合意書)