参考写真 2月21日、井手よしひろ県議ら茨城県議会公明党議員会は、地元のアニマルセラピーボランティアの代表らと、福島県動物救護本部第1シェルター(飯野シェルター)と第2シェルター(三春シェルター)を現地調査しました。これには、井手県議の他、高崎進県議(水戸市選出)、田村けい子県議(つくば市選出)、八島功男県議(土浦市選出)が参加しました。
 福島県動物救護本部の二つのシェルターは、昨年3月の東日本大震災で被災したペットや、福島第一原発から半径20キロ圏内に置き去りにされていた犬や猫を一時的に保護する施設です。福島県、郡山市、いわき市、社団法人福島県獣医師会、福島県動物愛護ボランティア会などが共同で運営をしています。
 今回の現地調査では、福島県保健福祉部の動物愛護担当のキャップの平野井浩さん(専門獣医技師)に1日ご同行いただき、詳しく説明を聴取することが出来ました。
 昨年3月11日、未曾有の大地震、それに続く大津波、原発事故による避難命令などで、人々が避難したあとに残されたペットたち。こうしたペットたちを収用するはずの双相保健所の動物収容施設は、津波で流され全く機能しなくなってしまっていました。
 動物愛護担当の平野井さんら県のスタッフは、必死になって保護施設の用地を探しました。犬猫の鳴き声や臭い、車両の出入り等、周囲への配慮もあり、ようやく福島市の郊外の飯野町に適当な貸し工場を見つけました。
 その時点では、義援金も県の予算も決まっておらず、自腹覚悟で契約。仲間二人で、掃除をし、設備を整え、保健所が保護してきた被災犬25匹を収容しました。これが、第1シェルターの始まりです。
 保護されたペットは、保健所などでワクチンが接種され、この第1シェルターに運ばれます。第1シェルターでは、まず第2犬舎に入れられ、ダニの駆除など一定期間経過が観察されます。その後、第一犬舎に移されます。
 第1シェルターは、古い貸し工場を改装したもので、施設や設備は決して整ったものではありませんでしたが、担当職員とボランティアの皆さんの手によって、予想以上に清潔さが保たれていました。保護されている犬たちも、非常に落ち着いている状況でした。1月末までに、犬407頭、ネコ228頭が保護されました。
 昨年秋には、より犬、猫にとってQOLが高い施設が、三春町に完成しました。以前、パチンコ店で、その後ペットショップが入居していた貸店舗を借りて、暖冷房完備の個室シェルターが開設されました。
 ペットたちはここで、飼い主が迎えにくるのを待つことになります。
 「飼い主が飼育を放棄したり、飼い主や譲渡先が見つからなくても、絶対に殺処分は行わない」ことが、福島県動物救護本部の合い言葉。平野井さんの力強いことばが印象的でした。
参考写真
 今回の視察の中で、特に茨城県の動物愛護行政にも参考になるポイントを列記します。
  • 大規模な災害発生に備えて、ペット用の防災用品を備蓄する必要がある。福島県では、平成17年度より、ゲージ(飼育用のオリ)を50セット、犬用餌を500キロ、猫用餌を125キロ用意し、5つの保健所に分散配備していた。

  • 避難時はペットとの同行避難が原則。そのためには、飼い主に移動用のゲージを備えること、犬鑑札(ネームプレート、マイクロチップ)など個体識別の明確化、トイレやムダ吠えをさせないなどのしつけを、平常時から徹底させることが必要。

  • ペットの収用予定施設を事前に想定しておく必要がある。福島県では、廃校となった小中学校の校舎を想定していたが、災害の規模が大きく、被災者の避難所となった。

  • 避難所や仮設住宅も、ペットと同行(同居)できるよう配慮することが必要。

  • 地域防災計画の中に、ペットの防災計画も明確に位置づける必要がある。

  • 震災発生から3カ月程度は、被災者や全国の犬猫愛好家から問い合わせや要望、苦情などが殺到し、その対応のために県職員の通常業務がほとんど出来ないような状況が続いた。コールセンターなどを設置し、本来業務に支障が出ない体制の整備が不可欠。

(写真上:第1シェルター視察の模様、写真下:第2シェルター視察の模様)
参考:福島県動物救護本部のホームページ