Q:消費税の増税は、民主の公約違反では?
A:その通り。与党内にも「反対」の声が根強い
参考写真 「この4年間で消費税増税を考えることは決してない」(鳩山由紀夫元首相2009年12月25日)、「衆院選で与えられた任期の間は消費税は上げない」(菅直人前首相2010年7月4日)等など。
 民主党の歴代首相は、このように国民に明言してきました。ところが野田政権は、消費税率を2014年4月に8%、2015年10月に10%へと引き上げることを盛り込んだ年金制度を含む社会保障と税の一体改革大綱を閣議決定。3月末にも引き上げに必要な関連法案を提出する構えです。
 国民をないがしろにした“増税暴走”には、民主党内からも反対の声が続出。同党の広報委員長が「(増税の)キャンペーンをやることはできない」と辞任し、連立を組む国民新党の幹部も反対する姿勢を示しました。消費増税について与党内ですら合意形成されていないのに、国民の理解を得ることなど到底、無理です。
Q:消費増税の景気への影響は?
A:消費冷やし、経済成長を鈍らせる恐れ
 かつて橋本政権が財政再建のために消費税率を3%から5%に引き上げた時、何が起こったでしょうか。
 消費税率が5%になった1997年4月を境に、個人消費は一気に冷え込み、坂道を転げ落ちるように景気は悪化の一途をたどりました。前年度比の実質経済成長率は、1996年度の2.7%から98年度にはマイナス1.5%にまで落ち込んでいます。
 消費税増税によって、期待された税収増も果たせず、逆に1996年度に52兆円あった税収は98年度には49兆円へと3兆円も減りました。消費税増税が経済の柱である企業活動を直撃し、法人税などが大幅に減少したことが原因です。
 この結果、金融機関や証券会社の破綻も相次ぎ、“平成の金融恐慌”さえ懸念されました。
 東日本大震災の影響がまだ残る中で増税すれば、経済の一層の悪化は火を見るより明らかです。

Q:公明党の消費税に関する考えは?
A:社会保障充実は必要。消費税見直しに5条件
 高齢化が深刻化する中で、社会保障制度にかかわる給付と負担(財源)の議論は避けて通れません。
 公明党は財政再建のためではなく、社会保障を充実させる観点からの消費税率の見直しを重要なテーマと位置付けています。
 ただし、公明党は消費税率の見直しに際して、(1)社会保障改革の具体化(年金改革含む)(2)景気回復(3)身を切る改革をはじめ行革・ムダゼロ(4)消費税の使途を社会保障に限定(5)消費税のみならず税制全体の改革―の「5条件」を満たす必要があると主張しています。
 この5条件のうち、野田政権は最初に掲げた具体案の提示すらできないままです。民主党が主張する新しい年金制度を創設するのか、それとも現行制度を維持・強化していくのか。スタートラインで迷走しているような政権では、話になりません。