参考写真 4月1日から行われる、東京電力の事業者向けの電気料金値上げについて、混乱が拡大しています。
 今日(3月21日)になって東京電力は、4月から一律平均17%値上げするとしている企業向け電気料金について、「契約期間の途中である場合は、顧客の了承がない値上げは行えない」ことを、ホームページで明らかにしました。
 「契約電力500キロワット未満のお客様へのお知らせ」では、「値上げの実施日としてお願いした4月1日がご契約期間の途中である場合は、お客さまのご了承なく一方的に電気料金の値上げを行うことはできません。こうした中、現在、値上げのご了承をいただくため、電話等によりお客さまのご意向の確認を進めておりますが、契約期間と値上げ実施日について充分お伝えできていないケースが見られることから、当社がお客さまの明確なご了承を確認できない限り、それぞれのご契約期間満了まで現在のご契約内容(電気料金単価)を継続させていただくことといたしました」と、記されています。
 契約事業者が了解しなければ、契約の終了日まで現在の料金体系が継続され、値上げは行えないことになります。
 もともとの料金契約の更新日が4月2日以降の場合、1日に値上げすると「契約期間中の値上げ」となり、利用者の了承が必要なのは火を見るより明らかです。了承しなければ、当然、期間満了日までは現行の料金が維持されます。それを、申し出でがなければ4月1日から一斉値上げをしようとすること自体に無理があったと思われます。東電の不誠実な態度は目に余ります。
政府の指導力欠如も露呈
 さらに、それに輪を掛けて醜態を曝しているのが、政府の対応です。枝野幸男経済産業相は、21日の記者会見で、東電の対応を「故意かどうか分からないが、開いた口がふさがらない。経営体質が全く変っていない」と批判し、今月16日に「利用者には個別に丁寧に説明を」と東電を指導していたことを明らかにしました。しかし、東電が利用者に通知文を送ったのは2月です。値上げまで2週間というこの時点で、電力会社を指導する立場の大臣が、こうした東電の対応を把握できなかったことは、批判されなくてはなりません。
 新聞報道によると、4月2日以降に契約更新を迎えるのは、使用電力500キロワット未満の小規模工場やスーパーなど全22万4000件のうち、75%の16万8000件に達します。
 今まで、東電の西沢俊夫社長は「大半の利用者の契約公開日は4月1日」として、4月から企業向け電気料金を平均17%の一律値上げすることで、4000億円の収支改善が見込めると説明してきました。しかし、この計画は、大きく変更せざるを得なくなります。
 すでに、東電は国の支援無しでは企業として存続できない状況になっているはず。逆に言えば、国は東電に対して、しっかりと監督する責任があります。枝野大臣の無責任な姿に、開いた口がふさがらないのは、利用者であり、国民です。
参考写真