3月30日、野田総理は消費増税法案を閣議決定しました。消費税増税法案は現行5%の消費税を、2014年4月より8%に、2015年10月に10%に引き上げることが柱です。
民主党との事前調整で混乱の焦点となった景気条項について、法案では「経済状況の好転」を税率上げの条件にあげ、経済指標を総合的に勘案し、増税実施を停止できるとしました。一方で、政府が新成長戦略で掲げた2011年度から20年度に平均で名目3%、実質2%の成長率達成は努力目標と位置付けましたが、増税実施の条件とはしませんでした。一方、将来の消費再増税を示唆する条項は党内の反発に配慮し削除しました。
低所得者対策では、8%への増税時に一定額の現金などを配る「簡素な給付措置」を実施。10%への引き上げ後は、国民の納税や社会保障などの情報を一元管理する共通番号制稼働を前提に、税還付と現金給付を組み合わせた「給付付き税額控除」を導入するとしています。
認められない社会保障の姿なき増税先行政策
この消費増税法案は、まさに増税先行で、社会保障のあるべき姿、全体像が不透明です。公明党は一貫して社会保障の全体像、あるべき姿を議論した上で、負担のあり方を議論すべきであると主張してきてきましたが、政府案は「社会保障と税の一体改革」に全くなっておらず、実質は「社会保障の姿なき増税先行政策」に他なりません。
特に、最低保障年金を柱とした民主党の主張する新年金制度は、2013年に法案提出とされており、具体的な中身が全く示されていません。一体改革の議論の前提が整っていないないのです。
民主党との事前調整で混乱の焦点となった景気条項について、法案では「経済状況の好転」を税率上げの条件にあげ、経済指標を総合的に勘案し、増税実施を停止できるとしました。一方で、政府が新成長戦略で掲げた2011年度から20年度に平均で名目3%、実質2%の成長率達成は努力目標と位置付けましたが、増税実施の条件とはしませんでした。一方、将来の消費再増税を示唆する条項は党内の反発に配慮し削除しました。
低所得者対策では、8%への増税時に一定額の現金などを配る「簡素な給付措置」を実施。10%への引き上げ後は、国民の納税や社会保障などの情報を一元管理する共通番号制稼働を前提に、税還付と現金給付を組み合わせた「給付付き税額控除」を導入するとしています。
◆消費増税法案の骨子◆
・消費税率を2014年4月に8%、2015年10月に10%に引き上げ。
・増税は経済状況の好転が条件。名目3%、実質2%の成長率は努力目標。
・低所得者対策として「給付付き税額控除」を導入。それ以前は簡素な給付措置を実施。
・住宅購入時の負担軽減措置を検討。
・所得税の最高税率を45%に、相続税の最高税率を55%に引き上げ。
・増税は経済状況の好転が条件。名目3%、実質2%の成長率は努力目標。
・低所得者対策として「給付付き税額控除」を導入。それ以前は簡素な給付措置を実施。
・住宅購入時の負担軽減措置を検討。
・所得税の最高税率を45%に、相続税の最高税率を55%に引き上げ。
認められない社会保障の姿なき増税先行政策
この消費増税法案は、まさに増税先行で、社会保障のあるべき姿、全体像が不透明です。公明党は一貫して社会保障の全体像、あるべき姿を議論した上で、負担のあり方を議論すべきであると主張してきてきましたが、政府案は「社会保障と税の一体改革」に全くなっておらず、実質は「社会保障の姿なき増税先行政策」に他なりません。
特に、最低保障年金を柱とした民主党の主張する新年金制度は、2013年に法案提出とされており、具体的な中身が全く示されていません。一体改革の議論の前提が整っていないないのです。
さらに、一体改革の大綱に示された社会保障制度改革の中にも未提出の法案があります。例えば高齢者医療制度の見直しや、被用者年金の一元化などだ。社会保障の全体像が示されない限り、国民の安心は確保されないし、理解は得られません。
景気への配慮も不明確です。法案の付則に増税実施に当たっての「景気弾力条項」を設け、名目3%、実質2%程度の成長をめざすとしていますが、そのための措置が全く不明確です。消費税率の引き上げ施行前に「経済状況の好転」について判断するとしているが、その判断基準も不明確です。
消費税増税に関する制度設計も不十分です。消費税は逆進性があるので、低所得者対策をしっかりすることが重要です。しかし、その具体的な制度設計が不明確です。いわゆる給付つき税額控除などの政策を導入するとしていますが、具体的な導入時期や方策が示されない限り国民の理解は得られません。また、導入までの間、簡素な給付措置を実施するとしていますが、財源の説明もない政策を信用することは出来ません。
消費増税に伴って住宅や自動車の取得に過大な負担が見込まれています。条文では「住宅の取得に係る必要な措置について財源を含め総合的に検討する」といってますが、具体的な措置が示されていないません。自動車関連税制も見直すというが、具体策は全く不明確です。
公明党は消費増税をどう考えているか
民主党は2009年の衆院選で「むこう4年間は消費税を上げない」と公言していました。にもかかわらず、野田政権は消費税率引き上げ法案を閣議決定しました。今や、増税自体が政権の目的であるかのようになっています。
公明党も、少子高齢化社会がますます進んでいく中にあって、社会保障のための安定財源確保のため、消費税を含む税の抜本改革が必要であることを否定するものではありません。しかし、政府が増税をしようというのなら、その前に整えなければならない5つの条件がありと考えています。
第1に、社会保障をどう改革していくのかを、国民にもはっきり見えるように具体化すること。当然、年金の将来像もはっきりさせないといけません。
第2に、これだけ不景気のときに消費税を上げられたらますます景気が悪化しますから、その前に景気を上向かせることが必須です。国民にご負担をお願いするには、景気が回復している状況の中でなければ、痛みが強すぎます。
第3に、いわゆる「身を切る改革」をはじめとして、行政改革や無駄を徹底して推進すること。「身を切る改革」の本丸は、我々国会議員の歳費の削減でしょう。民主党政権も公務員の給与削減を打ち出しましたが、これは平成25年度末までの時限的なものです。公明党としては、そのような時限的措置ではなく、恒久的な歳費削減を訴えていきます。
第4に、増税分の消費税は使い道を社会保障に限定し、他には使わないという保証を明確にすること。
じつは、今回民主党が出してきた社会保障改革の素案では、その点の説明が従来とは変えられていまし
た。従来は、消費税を5%増税するうち、機能強化に3%、機能維持に1%、税率アップによる政府の支出増に1%を充てるという説明でした。それが今回の素案では、社会保障の充実に1%、社会保障の安定化に4%充てるとしています。なぜ、社会保障の充実に1%しか回せないのか。そういう大事なことが議論されていないので、これでは「一体改革ではなくバラバラ改革だ」に他なりません。
そして第5に、消費税以外の税制改革も並行して進めること。社会保障の財源は、何も消費税からだけではなく、所得税や相続税を含めた税制全体から生み出すべきなのです。
景気への配慮も不明確です。法案の付則に増税実施に当たっての「景気弾力条項」を設け、名目3%、実質2%程度の成長をめざすとしていますが、そのための措置が全く不明確です。消費税率の引き上げ施行前に「経済状況の好転」について判断するとしているが、その判断基準も不明確です。
消費税増税に関する制度設計も不十分です。消費税は逆進性があるので、低所得者対策をしっかりすることが重要です。しかし、その具体的な制度設計が不明確です。いわゆる給付つき税額控除などの政策を導入するとしていますが、具体的な導入時期や方策が示されない限り国民の理解は得られません。また、導入までの間、簡素な給付措置を実施するとしていますが、財源の説明もない政策を信用することは出来ません。
消費増税に伴って住宅や自動車の取得に過大な負担が見込まれています。条文では「住宅の取得に係る必要な措置について財源を含め総合的に検討する」といってますが、具体的な措置が示されていないません。自動車関連税制も見直すというが、具体策は全く不明確です。
公明党は消費増税をどう考えているか
民主党は2009年の衆院選で「むこう4年間は消費税を上げない」と公言していました。にもかかわらず、野田政権は消費税率引き上げ法案を閣議決定しました。今や、増税自体が政権の目的であるかのようになっています。
公明党も、少子高齢化社会がますます進んでいく中にあって、社会保障のための安定財源確保のため、消費税を含む税の抜本改革が必要であることを否定するものではありません。しかし、政府が増税をしようというのなら、その前に整えなければならない5つの条件がありと考えています。
第1に、社会保障をどう改革していくのかを、国民にもはっきり見えるように具体化すること。当然、年金の将来像もはっきりさせないといけません。
第2に、これだけ不景気のときに消費税を上げられたらますます景気が悪化しますから、その前に景気を上向かせることが必須です。国民にご負担をお願いするには、景気が回復している状況の中でなければ、痛みが強すぎます。
第3に、いわゆる「身を切る改革」をはじめとして、行政改革や無駄を徹底して推進すること。「身を切る改革」の本丸は、我々国会議員の歳費の削減でしょう。民主党政権も公務員の給与削減を打ち出しましたが、これは平成25年度末までの時限的なものです。公明党としては、そのような時限的措置ではなく、恒久的な歳費削減を訴えていきます。
第4に、増税分の消費税は使い道を社会保障に限定し、他には使わないという保証を明確にすること。
じつは、今回民主党が出してきた社会保障改革の素案では、その点の説明が従来とは変えられていまし
た。従来は、消費税を5%増税するうち、機能強化に3%、機能維持に1%、税率アップによる政府の支出増に1%を充てるという説明でした。それが今回の素案では、社会保障の充実に1%、社会保障の安定化に4%充てるとしています。なぜ、社会保障の充実に1%しか回せないのか。そういう大事なことが議論されていないので、これでは「一体改革ではなくバラバラ改革だ」に他なりません。
そして第5に、消費税以外の税制改革も並行して進めること。社会保障の財源は、何も消費税からだけではなく、所得税や相続税を含めた税制全体から生み出すべきなのです。