4月11日、公明党の山口那津男代表は党首討論で、社会保障と税の一体改革などをめぐって、野田佳彦首相と論戦を交わしました。山口代表は、民主党が主張する年金抜本改革関連法案が先送りされていることなどから、一体改革は「説得力がなく、社会保障が置き去りの増税先行法案」と批判。さらに、反対論がくすぶる民主党内をまとめ切れない首相のリーダーシップを問いただしました。
 討論の冒頭、山口代表は、消費税増税法案が先月30日に提出されたものの、「いまだに与党側から、どう審議するのか、全く相談がない。審議方針を早く政府・与党で決断して示してもらいたい」と要請。公明党は“増税先行法案”の問題点を国会審議で堂々と議論していく考えを示すとともに、同法案について「首相が早期成立を言うならば、4月中に審議入りさせるというリーダーシップを示すべきだ」と強調しました。
 さらに、民主党内で反対論がくすぶる中で、首相が今国会成立に「政治生命を懸ける」と発言していることを踏まえ、「否決されるか、採決できずに会期末を迎えることになれば、しかるべき決断をする覚悟があるのか」と質しました。
 これに対して首相は「政治家としての集大成の思いを込めて表現した。そういう覚悟であることは理解してもらいたい」と述べました。
 また、山口代表は、政府が「社会保障と税の一体改革」と言っても、社会保障の全体像が示されず、民主党の主張する年金抜本改革の法案提出が先送りされていることなどから、「説得力がない」と厳しく批判。その上で、「(年金)抜本改革の具体案を示すのか、取り下げるのか。後期高齢者医療制度を廃止して見直すと言うが、いまだに提案の見通しが立たないのをどうするのか」と迫りました。
 これに対し、首相は「全て一緒の法案提出ではないが、基本的には一体的に議論できる環境は整えることができる」と強弁しました。
 所得の低い人ほど負担が重くなる消費税の逆進性の対策に関しては、山口代表が「具体的な案が示されず、増税の数字や時期だけが突出している」と指摘すると、首相は「複数税率は考えずに、給付つき税額控除にしたい」と述べました。
 その一方で首相は、「社会保障を支える財源を公明党はどう考えているか」と逆質問。山口代表は「行政改革も、(税の)自然増収を図る経済対策も必要だ。消費税も含む税制全体の抜本改革をやるという方針は、すでに明らかにしている」と述べ、「消費税だけを上げろとは一度も言ったことがないし、消費税を否定もしていない」と明確に答えました。
 最後に、山口代表はガソリン価格高騰で運送業界や被災者の生活に影響が及んでいることを挙げ、「全国から悲鳴が上がりつつある。政府は早急に(対策に)取り組むべきだ」と強調。首相は「早急に取り組みたい」と応じました。