参考写真 野田首相が今国会での成立をめざす消費増税法案だが、「政治生命を懸ける」と公言する割には、理解を得ようとする努力が見られません。
 3月11日の党首討論でも、公明党の山口那津男代表が同法案の問題点を追及したが、首相はかみ合わない答弁を繰り返すだけで、問題点を解消する具体策を示しませんでした。
 これでは到底、国民の理解は得られません。公明党は正々堂々と国会で議論し、消費増税法案の問題点を厳しく糾弾してまいります。
 党首討論で山口代表は、消費増税法案の問題点を大きく2点、指摘しました。一つは社会保障の全体像が示されていないこと、もう一つは消費税の増税に伴う低所得者への負担軽減策、いわゆる逆進性対策です。
 首相は社会保障と税について「基本的には一体的に議論はできる」と言い放ちましたが、民主党の社会保障改革の柱だった年金制度の抜本改革と後期高齢者医療制度の廃止が、どちらも具体化されていないのに、どうして一体的な議論ができるのでしょうか。
 「社会保障置き去りの増税先行法案」と、山口代表は指摘しました。
 逆進性対策も、どのような形で実施するのか、まったく説明されていません。
 消費増税法案では、国民一人一人の納税実績や年金などの情報を管理する共通番号制度の創設を前提に、減税と給付を組み合わせた「給付つき税額控除」などを実施し、それまでの間は「簡素な給付措置」を行うとしています。
 しかし、いずれの対策も具体的な制度設計は全く見えず、党首討論でも、首相は何一つ明らかにできませんでした。
 消費増税法案は消費税の増税時期と税率だけは明確でしが、社会保障改革や逆進性対策などは軒並み先送りされているのが実態です。
 首相は野党に協議を呼び掛ける前に、これらの具体策を早急に示すべきでです。
 一方、党首討論では公明党と民主党政権との、社会保障財源に対する考え方の違いも鮮明になりました。
 公明党は、まず社会保障のあるべき姿を示した上で、行政改革、経済対策などの実施とともに、消費税を含む税制の抜本改革を行うという順序です。民主党政権のような「消費税の増税ありき」とは全く逆方向の考え方です。
 国民の負担感が重く、日本経済にも影響が大きい消費税の増税を行うには、さまざまな角度からのきめ細かい対策が必要です。民主党政権には、こうした配慮が決定的に欠けていると指弾しておきたいと思います。