4月9日、茨城県教育委員会は、東日本大震災の教訓を受けて、学校防災の基本的な指針をまとめた「学校防災に関する手引き」を公表しました。従来の「学校安全管理の手引き」から、「災害発生時の対応マニュアル」の部分を独立させ、大幅な見直し、改訂を行ったものです。1000部を印刷し、小中学校や高校、市町村教育委員会などに配布します。今後、県教委では各学校の担当者を集めて研修会を開き、学校独自の防災マニュアルを策定するよう指導していきます。
県教委では、東日本大震災以降、各学校に危機対応のアンケート調査(平成23年7月調査)を行いました。このアンケートでは、以下のような課題などが浮き彫りになりました。
県教委では、東日本大震災以降、各学校に危機対応のアンケート調査(平成23年7月調査)を行いました。このアンケートでは、以下のような課題などが浮き彫りになりました。
- 連絡網が遮断され引き渡しに時間がかかった(緊急時の連絡方法)
- 校舎が被害を受けている時の開放の判断
- 公共交通機関が使えないときの帰宅方法
- 市町村との連携
- 緊急放送が使えないときの児童生徒への避難指示
- 児童の危機回避能力の向上を図ること
- 非常用物資がない
- 地域防災無線が機能しない
- 引き渡しカードの保管(児童の鞄に入っていては役立たない)
- いろいろなケースでの引き渡し方法の設定が必要
- 耐震構造の十分な避難場所を設定すること
- 水害や津波想定した避難場所の検討(屋上等)
- 通学路の安全点検の重要性
- 発電機や毛布、ラジオ等の備蓄の必要性
- 職員の役割分担
- 第二次避難場所の確保
- 公衆電話が有効であった
- 津波対策が不十分
- 地震対応の避難訓練が不十分
- メール配信システムが有効であった
こうしたアンケート調査や県の地域防災計画の見直しを受けて、「学校防災に関する手引き」では、災害時の危機管理に関し、1.事前の危機管理【備える】、2.発生時の危機管理【命を守る】、3.事後の危機管理【立て直す】、の3つの段階に分けて対応を明示しました。
「通信網の遮断」、「児童生徒の引き渡し困難」、「避難所対応の問題」など、現行の手引きの内容では対応できない新たな項目を追加しました。特に、児童生徒の受け渡しに関しては、「津波など限られた時間で対応が迫られる場合は、引き渡さず保護者とともに学校にとどまるなどの対応も必要」とし、あらかじめ児童の氏名や住所などを書いておき、引き渡しの際本人確認のために用いる「引き渡しカード」の利用が有効としました。
また、携帯電話などが利用できなくなった場合を想定し、学校のメール一斉配信機能やツイッターの利用なども例示しました。情報入手や伝達の手段として、携帯ラジオや非常用伝言ダイヤルの活用なども提案しています。
さらに、事前の防災教育の重要性も指摘。「自らの命を守り抜くために主体的に行動する態度を身につけさせる」ここと強調し、「教師の指示を待たずに児童生徒が自ら判断し、素早く安全確保できるよう繰り返し訓練する」としています。
「通信網の遮断」、「児童生徒の引き渡し困難」、「避難所対応の問題」など、現行の手引きの内容では対応できない新たな項目を追加しました。特に、児童生徒の受け渡しに関しては、「津波など限られた時間で対応が迫られる場合は、引き渡さず保護者とともに学校にとどまるなどの対応も必要」とし、あらかじめ児童の氏名や住所などを書いておき、引き渡しの際本人確認のために用いる「引き渡しカード」の利用が有効としました。
また、携帯電話などが利用できなくなった場合を想定し、学校のメール一斉配信機能やツイッターの利用なども例示しました。情報入手や伝達の手段として、携帯ラジオや非常用伝言ダイヤルの活用なども提案しています。
さらに、事前の防災教育の重要性も指摘。「自らの命を守り抜くために主体的に行動する態度を身につけさせる」ここと強調し、「教師の指示を待たずに児童生徒が自ら判断し、素早く安全確保できるよう繰り返し訓練する」としています。
「学校防災に関する手引き」について
学校における防災対策については、これまで「学校保健・学校安全管理の手引き(三訂版)」(平成9年度作成)をもとに防災マニュアル等を作成し、児童生徒の安全確保に努めてきました。
しかし、この度の東日本大震災では、地震の規模や複合的な被害から、「通信網の遮断」、「児童生徒の引き渡し困難」、「避難所対応の問題」など、現行の手引きの内容では対応できない課題が見えてきました。
今後、より一層、学校の児童生徒が安心して学校生活が送れるよう、それらの課題への対策を盛り込むとともに、実践的な学校防災が図られる手引きを作成しました。
改訂の主なポイント:内容を時系列で三段階に構成
従前の手びきに位置づけられていた災害発生時の対応マニュアルを見直し、内容を「事前の危機管理」、「発生時の危機管理」、「事後の危機管理」の三段階で構成することで、学校がより実践的に活用できるものにしました。
1 事前の危機管理【備える】
(1)防災体制の整備
通信網が遮断された場合を踏まえ、携帯ラジオや非常用伝言ダイヤル等の手段を例示
(2)安全点検と安全対策
天井材、照明器具、窓ガラスなどの非構造部材等の点検項目を追加
(3)避難訓練等の充実
緊急地震速報を活用、あるいは引き渡しなど避難訓練の具体例を明示
(4)防災教育の充実
自らの命を守り抜くため「主体的に行動する態度」を育成すること、支援者となる視点から安全で安心な社会づくりに貢献する意識を高めることの2つの視点を明示
(5)教員研修等の充実
学校安全の推進を図るため、中核となる教員の育成
2 発生時の危機管理【命を守る】
(1)管理下
「落ちてこない」「倒れてこない」「移動してこない」場所に身を寄せる基本行動をとる
(2)管理外
教師や大人がいない場合でも、いる場合と同様の行動ができるよう、自らの判断で行動できる能力を育成
(3)発生時の危機管理における留意点
想定すべき二次災害の例を明示[津波・火災・余震・土砂災害・液状化など]
3 事後の危機管理【立て直す】
(1)防災対策本部の設置
組織と役割分担の明確化[総括班、安否確認・避難誘導班、安全点検・消火班など]
(2)避難所協力
市町村や地域と連携した円滑な避難所運営への協力
(3)心のケア
ストレス症状のある子どもへの基本的な対応を提示
(4)引渡し(待機)
引渡しのルールと手順の例示
(5)授業再開に向けて
再開に向けた情報収集の工夫の明示
参考:「学校防災に関する手引き」について
学校における防災対策については、これまで「学校保健・学校安全管理の手引き(三訂版)」(平成9年度作成)をもとに防災マニュアル等を作成し、児童生徒の安全確保に努めてきました。
しかし、この度の東日本大震災では、地震の規模や複合的な被害から、「通信網の遮断」、「児童生徒の引き渡し困難」、「避難所対応の問題」など、現行の手引きの内容では対応できない課題が見えてきました。
今後、より一層、学校の児童生徒が安心して学校生活が送れるよう、それらの課題への対策を盛り込むとともに、実践的な学校防災が図られる手引きを作成しました。
改訂の主なポイント:内容を時系列で三段階に構成
従前の手びきに位置づけられていた災害発生時の対応マニュアルを見直し、内容を「事前の危機管理」、「発生時の危機管理」、「事後の危機管理」の三段階で構成することで、学校がより実践的に活用できるものにしました。
1 事前の危機管理【備える】
(1)防災体制の整備
通信網が遮断された場合を踏まえ、携帯ラジオや非常用伝言ダイヤル等の手段を例示
(2)安全点検と安全対策
天井材、照明器具、窓ガラスなどの非構造部材等の点検項目を追加
(3)避難訓練等の充実
緊急地震速報を活用、あるいは引き渡しなど避難訓練の具体例を明示
(4)防災教育の充実
自らの命を守り抜くため「主体的に行動する態度」を育成すること、支援者となる視点から安全で安心な社会づくりに貢献する意識を高めることの2つの視点を明示
(5)教員研修等の充実
学校安全の推進を図るため、中核となる教員の育成
2 発生時の危機管理【命を守る】
(1)管理下
「落ちてこない」「倒れてこない」「移動してこない」場所に身を寄せる基本行動をとる
(2)管理外
教師や大人がいない場合でも、いる場合と同様の行動ができるよう、自らの判断で行動できる能力を育成
(3)発生時の危機管理における留意点
想定すべき二次災害の例を明示[津波・火災・余震・土砂災害・液状化など]
3 事後の危機管理【立て直す】
(1)防災対策本部の設置
組織と役割分担の明確化[総括班、安否確認・避難誘導班、安全点検・消火班など]
(2)避難所協力
市町村や地域と連携した円滑な避難所運営への協力
(3)心のケア
ストレス症状のある子どもへの基本的な対応を提示
(4)引渡し(待機)
引渡しのルールと手順の例示
(5)授業再開に向けて
再開に向けた情報収集の工夫の明示
参考:「学校防災に関する手引き」について